オンタリオ州の車両保険(民間保険、Auto insurance in Ontario)
オンタリオ州では、車を持つ人は民間の保険会社で自動車保険に入る義務があります。対人・対物の賠償責任(third-party liability)はC$200,000以上が必要で、保険に入ってからでないと車の所有者として登録できません。2026年7月1日以降の契約では、事故の補償のうち必須は医療・リハビリ・介護の給付だけになりました。
目次
条件や金額は変わることがあります。手続きの前に、必ず公式の窓口やページで最新の情報を確認してください。個別の判断は、登録された専門家に相談してください。
民間の保険会社で入る
オンタリオ州では、自動車保険を民間の保険会社で買います。BCのように州の公的な保険会社(ICBC)が基本の保険を扱う仕組みとは違います(BC州の車両保険(ICBC))。
オンタリオ州政府は、法律上、オンタリオ州の道路で車を運転する前に、次の3つが必要だとしています。
- その車に合った保険
- 自分が法律上の所有者であることを示す登録証(permit)
- ナンバープレート(必要な場合は有効なステッカー)
さらに、車は基本の安全基準と排ガスの基準を満たしている必要があります。
保険に入ってから登録する
オンタリオ州政府によると、車の所有者として登録する前に、その車の保険に入っている必要があります。中古車を個人から買ったときなど、自分で登録する場合は、先に保険会社と契約しておきます。販売店から買う場合は、多くの販売店が書類の手続きをしてくれます。
ナンバープレートを自動で更新する場合も、有効な保険が条件です。乗用車などのプレートは、有効な保険があり、未払いの罰金や通行料がなければ、自動で1年更新されます。
登録とナンバープレートについては車の登録とナンバープレートで扱います。
法律で必要な補償
オンタリオ州政府は、すべての車に、第三者への賠償責任(third-party liability)をC$200,000以上つけなければならないとしています。運転中に人にけがをさせたり死なせたり、他人の物を壊したりしたときのための補償です。
| 補償 | 法律上の扱い(オンタリオ州政府の案内) |
|---|---|
| 第三者への賠償責任(third-party liability) | 必須。C$200,000以上 |
| 自分の車の損害(collision) | 法律では必須ではない。州政府は入っておくとよいとしている |
| 火災・盗難などの損害(comprehensive) | 車を長く保管するときも残しておくよう州政府が勧めている |
州政府は、車を冬の間などに長く保管するとき(seasonal vehicle)は、道路を走るための保険、賠償責任、事故の補償(accident benefits)の保険を外せるとしています。ただし、火災や盗難などに備える包括の保険(comprehensive)は残しておくよう勧めています。また運転を再開するときは、保険会社がカナダ保険協会(Insurance Bureau of Canada)に情報を届けるための時間として、運転を始めるおよそ2〜3週間前に保険を戻すよう案内しています。
標準の契約に含まれる補償
オンタリオ州の保険を監督するオンタリオ州金融サービス規制庁(Financial Services Regulatory Authority of Ontario、FSRA)によると、標準の契約には次の補償が自動で含まれます(FSRAの標準の契約のページ(新しいタブで開く))。
| 補償 | 内容(FSRAの案内の要約) |
|---|---|
| 賠償責任(liability) | 自分に責任のある事故で、他人を死傷させたり物を壊したりしたときの請求に払う。C$200,000以上が必須で、C$500,000、C$1 million、C$2 millionなどに増やせる(追加の保険料がかかる) |
| 事故の補償(statutory accident benefits、SABs) | 事故でけがをしたとき、どちらに責任があっても受けられる給付 |
| 無保険車の補償(uninsured automobile) | 保険のない車や、相手が分からない車にけがをさせられたときなど |
| 物損の直接補償(Direct Compensation – Property Damage、DCPD) | 相手に責任がある事故の自分の車の損害を、自分の保険会社から受け取る |
物損の直接補償(DCPD)
DCPDは、相手の保険会社ではなく自分の保険会社から直接払われるため、この名前がついています。FSRAによると、使えるのは次の条件をすべて満たすときです。
- 事故がオンタリオ州の中で起きた
- 事故にかかわったほかの車の少なくとも1台が保険に入っている
- その車の保険会社が、オンタリオ州で免許を持つか、FSRAにこの補償の届け出をしている
条件に合わないときは、自分で入っていれば任意の衝突の補償(collision)で請求します。受け取れる額は、自分の責任の割合と契約の内容で変わります。2024年1月から、DCPDを使わないことを書面で選べるようになりました。FSRAは、選ぶ前に保険会社や代理店に相談するよう案内しています。
無保険車の補償
FSRAの事故後の請求のページ(新しいタブで開く)によると、事故の相手の車が保険に入っていなかったときは、自分の契約の無保険車の補償で請求できます。車の損害の補償はC$25,000までで、最初のC$300は自己負担です。相手の所有者か運転者が分かっていることが条件です。
事故の補償(accident benefits)と2026年7月の変更
事故の補償は、事故でけがをしたときに、どちらに責任があっても受けられる給付です。内容は州の規則(Statutory Accident Benefits Schedule、O. Reg. 34/10)で決まっています。
FSRAによると、2026年7月1日以降に結ぶ契約では、必須なのは医療・リハビリ・介護(medical, rehabilitation and attendant care)の給付だけです。休業中の収入の補償(income replacement)などほかの給付は、自分で選んでつける任意の補償になりました。法令では、2026年7月1日以降に更新する契約は、書面で外したり変えたりしない限り、それまでの給付が任意の補償として続くとされています。
FSRAの補償の選び方のページ(新しいタブで開く)が示す主な額は次のとおりです(2026年10月時点)。
| 給付 | 標準の額 | 増やす選択肢 |
|---|---|---|
| 医療・リハビリ・介護(重い障害でないけが) | C$65,000 | C$130,000またはC$1,000,000 |
| 医療・リハビリ・介護(重い障害、catastrophic impairment) | C$1,000,000 | C$2,000,000 |
| 収入の補償(任意) | 総収入の70%、週C$400まで | 週C$600、C$800、C$1,000 |
| 死亡・葬儀(任意) | 配偶者にC$25,000、扶養家族1人にC$10,000、葬儀はC$6,000まで | C$50,000、C$20,000、C$8,000まで |
規則では、軽いけが(minor injury)の医療とリハビリの給付は、原則としてC$3,500(HSTを除く)までとされています。
任意の給付には、ほかに介護者(caregiver)、学生や無職の人の給付(non-earner)、家事(housekeeping and home maintenance)、壊れた身の回り品、インフレ調整(indexation)などがあります。FSRAは、勤め先の福利厚生や補足の医療保険で一部がすでにカバーされていることもあるので、それも考えて選ぶよう案内しています。どの補償をつけるかは、保険会社や代理店に相談します。
任意の補償
自分の車の損害には、次のような任意の補償があります(FSRAの任意の補償のページ(新しいタブで開く))。
- 衝突・転覆(collision or upset)
- 包括(comprehensive):火災、盗難、いたずら、飛んできた物など
- 特定の危険(specified perils):火災、盗難、ひょう、地震など決められた危険だけ
- 全危険(all perils):衝突と包括を合わせたもの
このほか、特約(Ontario Policy Change Forms、OPCF)で、修理や買い替えの間の代わりの車の費用(OPCF 20)や、相手の保険が足りないときに自分の賠償責任と同じ額まで補う家族の補償(OPCF 44R)などをつけられます。
保険の証明書(pink slip)を持つ
オンタリオ州政府は、自分の車でも他人の車でも、運転するときはその車の保険の証明書(pink slip、liability insurance card)を持たなければならないとしています。車の登録証(permit)も、運転するときに持っている必要があります。警察に止められたときに見せます。
FSRAによると、保険会社が対応していれば、スマートフォンで見せる電子の保険証明書も使えます。使うには保険会社への同意が必要で、電池切れや画面の故障があっても証明を見せる責任は本人にあります。FSRAは、予備に紙の証明書も持つことや、オンタリオ州の外では紙が必要になることがあることも案内しています。
事故のときも、警察や相手に、自分の名前と住所、車の登録上の所有者、ナンバーと登録証の番号、保険の証明書を示します(事故を起こしたとき)。
無保険で運転したとき
オンタリオ州では、車を運転する人はみな自動車保険に入る義務があります。強制自動車保険法(Compulsory Automobile Insurance Act)では、車の所有者や借主が保険のない車を道路で運転したり、運転させたりすると、次の罰則があります(2026年10月時点)。
| 内容 | 法律の定め |
|---|---|
| 罰金(初回) | C$5,000以上C$25,000以下 |
| 罰金(2回目以降) | C$10,000以上C$50,000以下 |
| 運転免許 | 1年以内の停止がありうる |
| 車 | 3か月以内の差し押さえがありうる |
FSRAの法律の義務のページ(新しいタブで開く)は、無保険の運転で有罪になると、保険会社から危険の高い運転者とみなされ、保険料が上がったり断られたりすることがあるとしています。また、無保険の車を運転していたり乗っていたりしてけがをしたときは、収入の補償などを受けられないことや、責任のある運転者を訴えられないことがあります。
事故のあと
FSRAの事故のあとのページ(新しいタブで開く)と事故後の請求のページが示す主な流れは次のとおりです。
- 警察に通報する:けが人がいるとき、すべての車の損害がC$5,000を超えそうなとき、飲酒や薬物の影響が疑われるとき。けが人がいれば911に電話し、けが人を動かしません。
- 州の道路交通法(Highway Traffic Act)(新しいタブで開く)第199条と規則(Reg. 596)(新しいタブで開く)第11条では、けが人がいるとき、物の損害がC$5,000を超えると見られるとき、止まっている車のドアが自転車などに当たったときは、すぐに警察に報告する義務があります。警察から、指定の場所(地域によっては衝突報告センター)で報告するよう指示されることもあります。
- 保険会社に報告する:事故から7日以内(それ以降なら、できるだけ早く)に、保険会社、代理店、ブローカーに報告します。報告が大きく遅れると、請求が認められないことがあります。
- 報告に必要な情報:契約の番号、車の情報(メーカー、モデル、年式、登録、ナンバー)、事故の日時と場所、けがと車の損害の程度、事故の説明、かかわったすべての運転者の名前と免許番号、その保険会社と契約、警察に通報したときは担当の警察官の名前とバッジ番号。
事故の責任の割合は、保険会社が保険法(Insurance Act)の過失の判定ルール(Fault Determination Rules)で決めます。警察に違反を問われたかどうかとは別に判断されます。FSRAによると、責任が50%以上とされると、次の更新で保険料が上がる可能性が高くなります。判定に納得できないときは、どのルールが使われたかを担当者に聞き、それでも解決しなければ保険会社の苦情の担当者に申し出ます。事故の補償について保険会社と意見が合わないときは、州の審判所(Licence Appeal Tribunal、LAT)の自動車事故給付サービス(Automobile Accident Benefits Service、AABS)に申し立てられます。
保険の契約がなく補償を受けられない人のためには、州の自動車事故請求基金(Motor Vehicle Accident Claims Fund)があります。
手順
- オンタリオ州の運転免許を確認する。日本の免許からの切り替えはオンタリオ州の免許切り替えで説明しています。
- 複数の保険会社や保険代理店(ブローカー)から見積もりを取る。
- 必須の補償に加えて、賠償責任の増額、任意の事故の補償、自分の車の損害の補償などをつけるかを決める。
- 保険に入り、保険の証明書(pink slip)を受け取る。
- ServiceOntarioなどで車の登録をし、登録証とナンバープレートを受け取る。
- 運転するときは、免許証、登録証、保険の証明書を持つ。
費用
保険料は保険会社や契約の内容によって違います。この記事では特定の保険会社を勧めません。
FSRAの保険料の決まり方のページ(新しいタブで開く)によると、保険会社は主に次の点から保険料を決めます。
- 車の種類
- 運転の記録(過去の事故、免許を持っている期間、運転の講習を受けたか、スピード違反などの違反)。記録がよいほど保険料は下がる
- 住んでいる場所(事故や盗難の多い都市部は高くなりやすい)
- 年齢・性別・婚姻の状況(25歳を過ぎると下がることが多い)
- 年間の走行距離や、通勤・通学に使うか
- つける補償の範囲と、免責額(deductible、請求のときに自己負担する額。低いほど保険料は高い)
- 保険会社
FSRAは、保険料は会社によって大きく違うので、少なくとも3社の見積もりを取るよう案内しています。また、2016年6月1日以降の小さな事故で、保険会社の支払いがなく、けが人がなく、損害が車1台ごとにC$2,000未満で、責任のある運転者が自分で払ったなどの条件を満たすものは、保険料を上げる理由に使えません(3年に1回まで)(2026年10月時点)。
日本とのちがいと注意点だよ!
- 州の公的な保険会社はない:オンタリオ州では、法律で必要な補償も、民間の保険会社の契約で入ります。
- 登録の前に保険:オンタリオ州では、保険に入ってからでないと車の所有者として登録できません。
- 自分の車の損害は任意:オンタリオ州政府は、自分の車の損害を補う保険(collision)は法律では必須ではないとしています。
- 事故の補償の多くが任意に:2026年7月1日以降の契約では、必須の事故の補償は医療・リハビリ・介護の給付だけで、収入の補償などは自分で選んでつけます。
- 事故の報告は7日以内:保険会社への報告は、事故から7日以内に行う必要があります。
- 新しく来た人を理由に断れない:FSRAによると、免許を取ったばかりの人や、カナダに来たばかりの運転者であることを理由に保険を断るルールは認められていません。
- 日本での運転歴:日本での無事故の記録が保険料に反映されるかは保険会社によります。日本の無事故証明で保険料を下げるで扱います。
- ナンバープレートは人につく:オンタリオ州では、ナンバープレートは車ではなく所有者についていきます。車を買い替えたら、前のプレートを新しい車につけます。
- 個別の相談:補償の選び方は、保険会社や保険代理店に相談します。
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