カナダの医療制度の仕組み(Canada's health care system)
カナダの公的医療は、連邦のカナダ保健法(Canada Health Act)の基準のもとで、州・準州がそれぞれの医療保険を運営する仕組みです。加入した住民は、医学的に必要な病院と医師の診療を、原則として窓口負担なしで受けられます。一方で、薬局の薬や歯科の多くは対象外です。カナダに住む人、これから住む人向けです。
条件や金額は変わることがあります。手続きの前に、必ず公式の窓口やページで最新の情報を確認してください。個別の判断は、登録された専門家に相談してください。
連邦が基準を決め、州・準州が運営する
カナダの公的医療は、税金を財源にした仕組みです。役割は次のように分かれています(カナダ保健省のページ(新しいタブで開く))。
- 連邦政府:全国の基準を決め、財源の一部を州・準州に渡します。この財政支援をカナダ保健移転(Canada Health Transfer)といいます。
- 州・準州:それぞれが医療保険を運営し、医療サービスを提供します。BCの医療サービス計画(Medical Services Plan、MSP)、オンタリオ州の医療保険(Ontario Health Insurance Plan、OHIP)などです。
そのため、「カナダの健康保険」という1つの制度があるわけではありません。加入の条件、待機期間、カバーされる範囲、手続きは、州・準州ごとに違います。
カナダ保健法の5つの基準
連邦のカナダ保健法(Canada Health Act)は、州・準州が連邦から財源を受け取るための条件として、次の5つの基準を定めています。
| 基準 | 内容 |
|---|---|
| 公的運営(Public administration) | 州の医療保険は、公的機関が非営利で運営する |
| 包括性(Comprehensiveness) | 病院・医師などによる医学的に必要なサービスをカバーする |
| 普遍性(Universality) | 州の対象となる住民の100%を、同じ条件でカバーする |
| 携行性(Portability) | 州をまたいで引っ越しても保障が途切れないようにする。新しい州で加入できるまで、最長3か月は前の州の保険が続く |
| アクセス可能性(Accessibility) | 支払い能力ではなく医学的な必要性に応じて、合理的に医療を受けられるようにする |
「住民」の定義
カナダ保健法でいう住民(Resident)は、カナダに合法的に滞在する資格があり、その州に住まいを置いて普段そこにいる人です。旅行者、一時的に通過する人、訪問者は含まれません(カナダ保健法(新しいタブで開く))。
ワーキングホリデーや留学生など、一時的な在留資格の人が州の医療保険に入れるかどうかは、州・準州ごとに決まっています。詳しくは「在留資格ごとの加入資格」で扱います。
待機期間は最長3か月
カナダ保健法は、州が住民に加入までの待機期間(Waiting period)を設けることを認めていますが、その長さは3か月を超えてはいけません。実際に待機期間があるかどうか、どう数えるかは州によって違います。州ごとの比較は「州の医療保険の待機期間」にまとめています。
州の医療保険でカバーされるもの
カナダ保健法の「保険の対象となる医療サービス(Insured health services)」は、病院のサービス、医師の診療、病院で必要な歯科手術です。カナダ保健省は、次のように説明しています。
- 医学的に必要な病院・医師のサービスは、州の医療保険で全額カバーされる
- 医師などによる初診の窓口(First-contact services)も含まれる
- 美容目的の処置、個人で雇う看護、医師の指示のない個室などは対象外
在宅ケア、目の検査、歯科、薬などは、州・準州が特定の人(高齢者、子ども、低所得の人など)に向けて独自に上乗せしている場合があります。内容は州ごとに違います。
カナダ保健法の追加料金の禁止
カナダ保健法は、保険の対象となるサービスについて、医師が州の支払いに上乗せして患者に請求すること(Extra-billing)や、患者に利用料(User charge)を求めることを、州の基準を満たさないものとして扱っています。
自分で払うことが多いもの
移民・難民・市民権省(IRCC)の新しく来た人向けのページ(新しいタブで開く)によると、次のものは州の医療保険では払われないことが多くあります。
- 薬局の薬:入院中に病院で出される薬は無料ですが、薬局で受け取る処方薬や市販薬は多くの場合自己負担です。州の薬代補助や勤め先の保険でカバーされることがあります。
- 歯科:ほとんどの歯科診療は公的な医療保険の対象外です。
- 州外のクリニック:ほかの州に住んでいる人は、ウォークインクリニックで料金を求められることがあります。
手順
- 住む州・準州の医療保険の加入条件を確かめる。
- 州の窓口に申し込み、ヘルスカード(Health card)を受け取る。
- 待機期間がある州では、その間の民間の医療保険を用意する。IRCCも、待機期間中は民間の保険に入るよう呼びかけています。
- 受診するときはヘルスカードを見せる。ふだんの受診はファミリードクター(かかりつけ医)かウォークインクリニック、緊急時は病院の救急外来か911です。
日本とのちがいと注意点だよ!
- 日本は国民全員を公的医療保険で保障する「国民皆保険」で、医療機関を自由に選べる(フリーアクセス)仕組みです(厚生労働省の資料(新しいタブで開く))。カナダは州・準州ごとの制度で、ふだんの受診はファミリードクターが窓口になり、専門医にはその紹介で行くのが基本です。
- 日本では、70歳未満の人は医療費の3割を窓口で負担します(6歳〔義務教育就学前〕未満は2割)。カナダの州の医療保険では、対象の病院・医師の診療で窓口負担は原則ありません。その代わり、薬局の薬や歯科は自己負担になることが多いです。
- 州をまたいで引っ越すと、保険も入り直しになります。カナダ保健法の携行性の基準で、新しい州で加入できるまでの最長3か月は前の州の保険が続きます。
- 着いてすぐは州の医療保険を使えないことがあります。到着前に、待機期間と民間の保険を確かめておくと安心です。
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