会社の福利厚生(Group benefits)
カナダの勤め先の福利厚生(Group benefits)は、州の医療保険が払わない処方薬・歯科・眼科などを補う団体保険が中心です。範囲は会社と契約によって違い、会社を辞めるとふつう補償も終わります。オンタリオ州の OHIP+ やケベック州の薬の保険など、州の制度との関係にも気をつけます。
福利厚生の保険で補うもの
カナダの州の医療保険は、医師の診察や病院が中心です。金融消費者庁(Financial Consumer Agency of Canada、FCAC)のページ(新しいタブで開く)は、勤め先の医療保険(Workplace health care plan)が、州の保険が払わない処方薬、歯科、眼科(Vision care)などをカバーすることがあると説明しています。
勤め先が従業員のためにまとめて入る保険を、一般に団体保険(Group insurance)や福利厚生(Group benefits)と呼びます。勤め先に保険がない人は、個人で入る保険を考えることになります(「民間の医療保険」)。
よく含まれる補償
どの補償が含まれるかは、会社と保険の契約によって違います。FCAC のページなどで挙げられている保険の種類は次のとおりです。
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 医療(Extended health) | 処方薬、眼科、州の保険の対象外の医療サービスなど |
| 歯科(Dental) | 検診、クリーニング、治療など(「歯科の受診と料金」) |
| 就業不能保険(Disability insurance) | 病気やけがで働けないときの収入の一部 |
| 重大疾病保険(Critical illness) | がん、心臓発作、脳卒中などと診断されたときの一時金 |
| 旅行医療保険(Travel health) | カナダ国外での治療費 |
眼科の扱いは「眼科と検眼の保険の扱い」で扱います。
就業不能保険と雇用保険
FCAC の就業不能保険のページ(新しいタブで開く)によると、多くの勤め先が就業不能保険を用意しています。
- 短期の就業不能保険(Short-term disability)は、病気やけがで働けない間、ふつう6か月まで給付があります。
- 長期の就業不能保険(Long-term disability)は、ふつう短期の保険、勤め先の病気休暇、雇用保険(EI)の傷病給付が終わったときに始まります。
- 保険料の全部か一部を勤め先が払っている場合、受け取る給付には所得税がかかります。
勤め先に短期の就業不能保険や病気休暇がない人は、EI の傷病給付(Sickness benefits)の対象になることがあります。EI の傷病給付のページ(新しいタブで開く)では、最大26週、収入の55%(週C$729まで)と説明しています(2026年10月時点)。制度は「雇用保険(EI)」で扱います。
保険料と税金
勤め先が払う保険料が給与と同じように課税されるか(課税される給付、taxable benefit)は、保険の種類で違います。CRAの保険料の扱いのページ(新しいタブで開く)によると、連邦の所得税では次のとおりです(2026年10月時点)。
| 保険 | 勤め先が払う保険料 |
|---|---|
| 医療・歯科の保険(Private health services plan、PHSP) | 条件を満たすPHSPなら、課税されない |
| 団体の定期生命保険(Group term life insurance) | 課税される。T4に載る |
| 就業不能保険などの所得補償(Wage-loss replacement plan) | 給付が定期的に払われるものなら、保険料は課税されない。受け取る給付には、上の節のとおり所得税がかかる |
| 州の医療保険の保険料を勤め先が払う場合 | 課税される。ただし、オンタリオ州とBCの雇用主の医療税(Employer health tax)は課税されない |
ケベック州の州の所得税の扱いは、ここでは確かめていません。給与明細やT4で、課税される給付が含まれているかを確かめられます。
州の制度との関係
福利厚生の保険があるかどうかで、州の制度の対象が変わることがあります。
| 州 | 関係 |
|---|---|
| オンタリオ州 | 24歳以下の薬代を補助する OHIP+ は、民間の保険がある人は対象外。勤め先の保険の薬の補償を使う |
| ケベック州 | 住民は薬の保険に入ることが義務。勤め先などを通じて民間の保険に入れる65歳未満の人は、その保険に入る |
詳しくは「州の薬代補助」で扱います。
手順
- 入社のときに、福利厚生の案内(Benefits booklet など)を受け取り、加入の手続きをする。
- 加入できるまでの待ち期間、家族を入れられるか、自分の負担があるかを確かめる。
- 補償ごとに、年間の上限額、保険が払う割合、自己負担、対象外のものを確かめる。
- 受診や薬の購入のときに保険のカードや番号を見せるか、領収書をとっておいてあとから請求する。
- 退職や転職の前に、補償がいつ終わるか、個人の保険に切り替えられるかを、勤め先か保険会社に確かめる。
FCAC の保険の入り方のページ(新しいタブで開く)は、団体の保険はふつう団体のメンバーでなくなったときか、決められた年齢になったときに終わると説明しています。
費用
保険料の分け方(会社の全額負担か、従業員も払うか)や上限額は、会社と契約によって違います。公的な目安の金額はありません(2026年10月時点)。
ここに注意してね!
- カナダでは、医療の基本は州の医療保険です。勤め先の福利厚生は、そこに上乗せする民間の団体保険で、州の医療保険の代わりにはなりません。
- 福利厚生の有無と中身は会社によって大きく違います。仕事を選ぶとき、内定の条件(Job offer)に含まれる福利厚生を確かめておくと、ふだんの医療費の見通しが立てやすくなります。
- 会社を辞めると、ふつう団体保険も終わります。次の仕事や個人の保険までの間に補償のない期間ができないよう、早めに確かめます。
- 契約の内容や請求でわからないことは、勤め先の人事か保険会社に聞きます。
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