日本人のためのカナダ情報
医療・保険 / 民間保険

日本の海外旅行保険と海外療養費(Japanese travel insurance and overseas medical expenses)

ひとことで言うと

日本の公的医療保険に入ったままカナダで治療を受けた場合、あとから「海外療養費」を請求できることがあります。ただし戻るのは日本で同じ治療を受けた場合の額が基準で、カナダの医療費全額ではありません。住民登録を抹消すると国民健康保険の被保険者ではなくなるため、民間の保険が必要になります。

目次
  1. つの「保険」はまったく別のもの
  2. 海外療養費のしくみ
  3. 手順(協会けんぽの場合)
  4. 費用・期限
  5. 日本の海外旅行保険を選ぶとき
  6. 日本との違い・注意点
ここは大事だよ

条件や金額は変わることがあります。手続きの前に、必ず公式の窓口やページで最新の情報を確認してください。個別の判断は、登録された専門家に相談してください。

2つの「保険」はまったく別のもの

カナダでの医療費に備える日本の仕組みには、性格の違う2つがあります。

海外療養費日本の海外旅行保険
種類日本の公的医療保険の給付民間の保険会社の商品
対象日本の公的医療保険に入っている人契約した人
戻る額日本で同じ治療を受けた場合の額が基準契約で決めた補償額の範囲
支払いいったん全額払い、あとで請求契約による

カナダでは、州の医療保険に入っていない人の医療費は高額になることがあります(「保険がないときの医療費」)。海外療養費は、その一部しかカバーしない点に注意が必要です。

海外療養費のしくみ

日本の健康保険(会社員などの保険)や国民健康保険には、海外で受けた治療の費用の一部を払い戻す「海外療養費」の制度があります。協会けんぽ(全国健康保険協会)のページ(新しいタブで開く)によると、要点は次のとおりです。

対象になる治療

  • 日本で保険診療として認められている治療であること。 美容整形やインプラントなど、日本で保険が使えない治療は対象外です。
  • 治療を目的に海外へ行って受けた診療ではないこと。

払い戻される額

日本の医療機関で同じけがや病気を治療した場合の費用を基準に計算し、そこから自己負担分(患者負担分)を差し引いた額が払われます。実際に海外で払った額のほうが低いときは、その額が基準になります。

カナダで払った額が日本の基準より高ければ、その差は戻りません。外国のお金は、支給を決める日の為替レートで円に換算されます。

誰が使えるか

外務省のページ(新しいタブで開く)は、次のように説明しています。

  • 健康保険(会社員など):出向などで海外に住んでいても、日本の事業所との雇用関係があれば被保険者です。海外の医療費をいったん全額払い、健康保険組合などに請求すると、保険が負担する分が戻ります。
  • 国民健康保険:短期の海外渡航中に海外療養費の制度があります。手続きは市区町村の保険の担当課に問い合わせます。
  • 住民登録を抹消した場合:国民健康保険の被保険者ではなくなります。必要な人は民間の医療保険に入ることになります。

ワーホリや留学で日本の住民票を抜く(海外転出届を出す)と、国民健康保険は使えなくなります。出国前の手続きは「日本を出る前の手続き(海外転出届)」で扱います。

手順(協会けんぽの場合)

  1. カナダの医療機関で治療を受け、費用をいったん全額払う。
  2. 医療機関に、診療内容明細書(様式A・C)と領収明細書(様式B)を書いてもらう。書式は加入している保険のものを使う。
  3. 領収書の原本を受け取る。
  4. 外国語の書類に日本語訳を付ける。翻訳文には翻訳者が署名し、住所と電話番号を書く。
  5. パスポートなど、渡航期間がわかる書類の写しを用意する。
  6. 医療機関への照会に同意する書類を付けて、海外療養費支給申請書を提出する。

協会けんぽでは、海外療養費の申請は神奈川支部の海外療養費の担当にまとめて送ります。健康保険組合や国民健康保険に入っている人は、それぞれの窓口で提出先と書式を確かめてください。

費用・期限

  • 申請の期限は、海外で治療費を払った日の翌日から2年です。過ぎると時効で申請できなくなります(2026年10月時点、協会けんぽ)。

日本の海外旅行保険を選ぶとき

日本の保険会社の海外旅行保険は、民間の商品です。補償の内容、期間、持病の扱い、支払い方法は商品ごとに違います。ワーホリ(IEC)の保険には、移民・難民・市民権省(IRCC)の条件があります(「ワーホリの保険の選び方」)。

カナダに住み始めてからの保険については、IRCCのページ(新しいタブで開く)が、州の保険の待機期間中は民間の保険に入るよう呼びかけています(「待機期間中の保険」)。カナダの民間保険は「民間の医療保険(Extended health)」で扱います。

日本とのちがいと注意点だよ!

  • 日本では医療機関の窓口で保険証を見せれば自己負担分だけ払いますが、カナダで日本の保険を使う場合は、いったん全額を払ってあとで請求します。手元の資金とクレジットカードの限度額を考えておく必要があります。
  • 海外療養費は「日本の基準」で計算されるため、カナダの高い医療費に対しては、戻る額が少なくなることがあります。
  • 診療明細などの書類は、受診したときにまとめて頼んでおくと手続きが進めやすくなります。
  • 海外療養費を使えるか、どの保険に入るべきかは、立場や住民票の扱いで違います。判断は加入している健康保険の窓口や市区町村に確かめてください。

この記事をシェアする

次に読むならこれ

医療・保険留学生の医療保険(州の保険・UHIP・学校の保険)留学生が州の公的医療保険に入れるかどうかは、州によってまったく違います。BCは6か月以上の学習許可があればMSPへの加入が必要で、月C$75の費用がかかります。アルバータ州は条件を満たせばAHCIPに入れます。オンタリオ州とケベック州(日本人の場合)は州の保険の対象外で、オンタリオ州の大学では大学の保険(UHIP)に入ります。留学を考えている方と保護者向けです。医療・保険カナダ歯科医療プラン(Canadian Dental Care Plan、CDCP)カナダ歯科医療プラン(CDCP)は、歯科保険がない、家族の調整後純所得がC$90,000未満などの条件を満たす人の歯科治療費の一部または全部を国が払う制度です。カナダで確定申告をしていることと、税務上のカナダの居住者であることが条件に含まれます。所得によって自己負担の割合が変わります。医療・保険歯科の受診と料金(Dental care in Canada)カナダでは、歯科医院でのふだんの治療は州の医療保険の対象外です。費用は勤め先の保険・民間の保険・自己負担のどれかでまかないます。保険がない人向けに国のカナダ歯科医療プラン(CDCP)があり、オンタリオ州などには子どもや高齢者向けの州の制度もあります。受診の前に見積もりを確かめるのが基本です。

関連する記事

医療・保険ワーホリの保険の選び方(Health insurance for IEC participants)ワーホリ(IEC)の保険は、IRCCの条件(医療・入院・本国への搬送、滞在期間全体)を満たすことが最低ラインです。そのうえで、期間に余裕を持たせる、持病や妊娠の扱いを確かめる、英語の証明書と補償内容の書類をそろえる、州の医療保険に入れるかを調べる、といった点で選びます。会社やプランの推薦はしません。医療・保険民間の医療保険(Extended health insurance)州の医療保険がカバーしない処方薬、歯科、救急車、医療器具などを補うのが民間の医療保険(Extended health、Supplementary health)です。勤め先の保険と重ならないか、上限額・支払い割合・持病の扱いを契約で確かめます。保険会社の監督と苦情の窓口は州・準州ごとです。会社やプランの推薦はしません。医療・保険待機期間中の保険(Health insurance during the waiting period)BCやケベック州などでは、州の医療保険が始まるまで最長でおよそ3か月かかります。その間の医療費は原則として自己負担で、あとから州の保険では戻りません。IRCCとBC州政府は、到着前に民間の医療保険に入っておくよう勧めています。持病や妊娠は民間の保険で対象外になることが多い点に注意が必要です。日本との関係日本を出る前の手続き(海外転出届など)カナダへ移り住むときは、日本を出る前に市区町村へ転出届(海外転出届)を出すのが基本です。住民基本台帳法は、転出する人はあらかじめ届け出るよう定めています。国民年金は任意加入に切り替えられ、パスポートや在留届の準備も日本にいるうちに進められます。医療・保険保険がないときの医療費(Uninsured patients)州の医療保険に入っていない人や、待機期間中の人がカナダで受診すると、医療費は原則として全額自己負担です。BCの公的病院の例では、カナダ国外に住む人の救急外来1回で施設料C$1,015と医師の料金C$340、一般病棟の入院は1日C$9,270です(2026年10月時点)。到着前に民間の保険で備えておく必要があります。医療・保険会社の福利厚生(Group benefits)カナダの勤め先の福利厚生(Group benefits)は、州の医療保険が払わない処方薬・歯科・眼科などを補う団体保険が中心です。範囲は会社と契約によって違い、会社を辞めるとふつう補償も終わります。オンタリオ州の OHIP+ やケベック州の薬の保険など、州の制度との関係にも気をつけます。