民間の医療保険(Extended health insurance)
州の医療保険がカバーしない処方薬、歯科、救急車、医療器具などを補うのが民間の医療保険(Extended health、Supplementary health)です。勤め先の保険と重ならないか、上限額・支払い割合・持病の扱いを契約で確かめます。保険会社の監督と苦情の窓口は州・準州ごとです。会社やプランの推薦はしません。
条件や金額は変わることがあります。手続きの前に、必ず公式の窓口やページで最新の情報を確認してください。個別の判断は、登録された専門家に相談してください。
州の医療保険との関係
カナダの公的な医療保険は州・準州の制度で、医学的に必要な医師の診療と病院のサービスが中心です。薬局で受け取る処方薬、歯科医院での治療、眼鏡などは、多くの場合対象外です(「州の医療保険でカバーされるもの・されないもの」)。
この「すき間」を補うのが、民間の医療保険です。カナダでは Extended health insurance、Supplementary health insurance などと呼ばれます。
カナダ金融消費者庁(Financial Consumer Agency of Canada、FCAC)のページ(新しいタブで開く)は、追加の医療保険が払うことのある費用として、次のような例を挙げています。
- 特別な看護サービス
- 救急車
- 車いすなどの器具
- 旅行中の医療費
- 大きな病気やけがの間の収入の補い
移民・難民・市民権省(IRCC)のページ(新しいタブで開く)も、多くの人が州の薬代補助や勤め先の保険で処方薬の一部をまかなっていること、ほとんどの歯科は公的な保険の対象外であることを説明しています。
民間の保険の主な種類
| 種類 | 内容(FCACの説明) |
|---|---|
| 追加の医療保険(Additional / Supplementary health) | 州の保険がカバーしないサービスの費用を補う |
| 重大疾病保険(Critical illness) | がん、心臓発作、脳卒中などと診断されたとき、ふつうは一時金を1回払う。金額は選んだ補償額による |
| 長期介護保険(Long-term care) | 自分で身の回りのことができなくなったとき、施設や介護者の費用を補う |
| 旅行保険(Travel health) | カナダの外へ旅行するときの医療費を補う |
加入の入口は、大きく分けて2つです。
- 勤め先の保険(Group benefits):会社が従業員向けに用意する福利厚生です。詳しくは「会社の福利厚生(Group benefits)」で扱います。
- 個人で入る保険:自営業の人、勤め先に保険がない人、勤め先の保険に上乗せしたい人などが、保険会社と直接、または代理店・ブローカーを通して契約します。
州の保険が始まるまでの待機期間の保険は、目的が違います。「待機期間中の保険」で扱います。
契約前に確かめること
FCACは、契約の前に次の点を確かめるよう勧めています。
- 勤め先の保険と重ならないか。 すでに持っている補償を、もう一度買わないようにします。
- 支払いの割合。 請求額の一部(たとえば何割か)しか払わない契約があります。
- 年間の上限額。 1年に払われる金額に上限がある契約があります。
- 持病の扱い。 加入前からある病気は、補償されないことがあります。
- 対象と対象外。 契約書をよく読み、何が補償され、何が補償されないかを理解してから署名します。
ほかに、次の点も契約書で確かめておくと比べやすくなります。
- 処方薬・歯科・眼科・理学療法などが、それぞれ含まれるか
- 加入できる条件(州の医療保険に入っていることが条件か、など)
- 補償が始まる日と、一部のサービスに待ち期間があるか
- 家族を加えられるか
- 請求の方法(薬局や歯科医院で直接精算できるか、あとから領収書で請求するか)
手順
- 自分の州の医療保険で何がカバーされるかを確かめる。
- 勤め先の保険や、州の薬代補助・歯科の制度(「カナダ歯科医療プラン」など)の対象かを確かめる。
- 足りない部分を書き出し、複数の保険の契約内容を比べる。
- 申込書の健康状態の質問に正しく答える。
- 契約書を受け取ったら、対象・対象外、上限額、支払い割合、持病の扱いを読み直す。
- 受診したら領収書を保管し、契約の方法で請求する。
費用
保険料は、保険会社、補償の範囲、年齢、家族の人数などで大きく違います。公的な目安の金額はありません(2026年10月時点)。
民間の医療保険の保険料は、カナダ歳入庁(CRA)の医療費控除の対象の説明(新しいタブで開く)で、対象の費用(Premiums paid to private health services plans)に挙げられています。保険から払い戻された分は、医療費として申告できません。申告できるかどうかは、税理士やCRAに確かめてください。
苦情と保険会社の監督
FCACの苦情のページ(新しいタブで開く)によると、保険会社・代理店・ブローカーは、営業する州・準州の法律やルールに従う必要があります。保険の支払いなどで納得できないときの流れは次のとおりです。
- 証券番号、経緯、求める解決、関係する書類をまとめる。
- 保険会社の苦情の手続きに沿って申し出る。
- 答えに納得できなければ、外部の機関に申し出る。生命保険・医療保険の苦情は、生命・医療保険オンブズサービス(OmbudService for Life and Health Insurance、OLHI)が、無料で中立に検討します。州・準州の保険の監督機関に申し出ることもできます。
FCAC自身は、個別の苦情を解決する機関ではありません。
日本とのちがいと注意点だよ!
- カナダでは、州の医療保険に入っていても、薬局の薬や歯科は自己負担のことが多くあります。勤め先の保険や民間の保険の有無で、ふだんの医療費が大きく変わります。
- 日本の海外旅行保険と、カナダの Extended health は別のものです。日本の公的医療保険の海外療養費は「日本の海外旅行保険と海外療養費」で扱います。
- 契約書と請求の書類は、ふつう日本語ではありません。わからない点は、契約の前に保険会社に書面で確かめておくと安心です。
- どの保険が合うかは、家族構成、持病、勤め先の福利厚生によって違います。判断に迷うときは、保険の代理人・ブローカーに相談し、複数の見積もりを比べてください。
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