陪審員の呼び出し(Jury duty)
カナダの陪審員になれるのは、BC とオンタリオ州ではカナダ市民だけです。永住者やワーキングホリデー・留学の人は陪審員になれませんが、呼び出しの書類や確認の用紙が届いたときは、無視せずに回答します。陪審の制度は州ごとに決まっています。
陪審員になれる人
刑事裁判などで事実を判断する陪審員(Juror)は、州が住民の中から無作為に呼び出します。誰が陪審員になれるかは、州の法律で決まっています。
BC とオンタリオ州では、どちらもカナダ市民であることが条件です。
- BC:陪審法(Jury Act)(新しいタブで開く)第3条は、カナダ市民でない人、BC に住んでいない人、成年に達していない人を、陪審員になれない人として定めています。
- オンタリオ州:州政府の陪審のページ(新しいタブで開く)は、陪審員になれるのは、オンタリオ州に住み、カナダ市民で、18歳以上の人だとしています。
永住者(Permanent Resident)、就労許可・学習許可で滞在している人、ワーキングホリデーの人は、カナダ市民ではないため、この2州では陪審員になりません。カナダ市民権を取ると、陪審員として呼ばれることがあります。市民権の取得は「カナダ市民権の取得」で扱います。
州・準州ごとの違い
州・準州によってちがうから、住んでいる州・準州を確認してね。
| 州 | 陪審員になれる人 | 呼び出しの流れ |
|---|---|---|
| BC | カナダ市民、BC に住んでいる、成年に達している(陪審法第3条) | 州の有権者名簿から無作為に選ばれ、呼び出し状(Jury summons)が届く |
| オンタリオ州 | オンタリオ州に住んでいる、カナダ市民、18歳以上 | まず資格を確かめる用紙が届き、資格のある人に呼び出し状が届く |
ほかの州・準州の条件は、それぞれの州の法律と裁判所の案内で決まっています。
BC の仕組み
BC では、州の保安官局(BC Sheriff Service、BCSS)が陪審を管理しています。陪審員の候補は、州の有権者名簿から無作為に選ばれます。
呼び出しへの回答のページ(新しいタブで開く)によると、呼び出し状を受け取っても、陪審員に選ばれたという意味ではありません。実際に選ぶのは、裁判所での選任の手続き(Jury selection)です。
州政府は、自分が資格を満たさないと思う場合や免除を求める場合でも、呼び出し状には必ず回答するよう求めています。回答は、オンライン(Court Services eResponse)か、呼び出し状に付いている用紙の郵送でできます。
陪審法では、次のような免除の仕組みがあります。
- 宗教上の理由や、陪審員を務めると深刻な困難や損失が生じる場合は、保安官に免除を申し出ることができる(第6条)
- 65歳を超える人は、保安官に申し出れば免除される(第7条)
- 呼ばれたのに出てこなかった陪審員は、その日の日当・費用を受け取れず、裁判所が科す罰金の対象になる(第29条)
BC の日当と費用
州政府の陪審員の補償のページ(新しいタブで開く)によると、陪審員には裁判に出た日ごとに日当が払われます(2026年10月時点で州のページに載っている額)。
| 日数 | 日当 |
|---|---|
| 最初の10日 | 1日C$20 |
| 11〜49日 | 1日C$60 |
| 50日以上 | 1日C$100 |
- 日当と費用は2週間ごとと裁判の終わりに払われます。50日を超える裁判では毎週払われます。休んだ日の分は払われません。
- 費用は、領収書を保安官に出すと払い戻されます。駐車料金は1日C$20まで、自分の車で1日32kmを超えて移動した分は1kmC$0.53、タクシーは1日C$15まで、公共交通は1日C$10まで、陪審のために頼んだ子どもの世話は子ども1人1日C$50までです。
- 食事は自分で用意します。評議のために陪審が隔離されるときは、食事と宿泊が出ます。
- BC の雇用基準法(Employment Standards Act)では、雇い主は陪審の間の給料を払う義務はありません。給料を払い続ける雇い主もあるため、勤め先に確かめます。
オンタリオ州の仕組み
オンタリオ州では、毎年80万人を超える住民に、陪審の資格を確かめる用紙(Mandatory Jury Eligibility Form)が届きます。オンラインで回答でき、紙の用紙を頼むこともできます。
資格のある人には、裁判所に来るよう求める呼び出し状が届くことがあります。呼び出されても陪審員に選ばれるとは限らず、裁判所で無作為に選ばれます。呼び出された人は、陪審に関する知らせをデジタルで受け取る登録ができます。
陪審法の決まり
オンタリオ州の陪審法(Juries Act)(新しいタブで開く)には、次のような決まりがあります。
- 資格(第2条):オンタリオ州に住み、カナダ市民で、選ばれる年の初めに18歳以上で、英語かフランス語を話し、読み、理解できる人。
- 職業による不適格(第3条):連邦・州の閣僚や議員、裁判官、弁護士と司法修習生、開業している医師・獣医師、検視官、警察官・保安官・刑務所の職員・消防士など法の執行に関わる人。その裁判の証人や利害関係のある人、直近3年に陪審のために裁判所に出向いた人も、その期間は不適格です。
- 個人の事情による不適格(第4条):身体や精神の状態で陪審員の務めを果たせず、合理的な配慮をしても難しい人。正式起訴できる犯罪で有罪になった人(記録停止や恩赦を受けた人を除く)。
- 資格の確認の用紙(第6条):受け取ってから30日以内に、正確に記入して出します。
- 免除(第23条):宗教上の理由、病気、深刻な困難や損失、裁判所から遠く離れて住んでいることを理由に、裁判官が免除できます。申し出は地域の保安官にできます。
罰則
- 資格の確認の用紙を正当な理由なく出さない、またはわざと偽りを書いた人は、有罪になるとC$5,000以下の罰金か6か月以下の拘禁、またはその両方の対象です(第38条第3項)。
- 呼び出し状を受けたのに正当な理由なく裁判所に来ない、名前を呼ばれても答えない人は、法廷侮辱(contempt of court)になります(第39条)。来られなかった場合は、すぐに裁判所に連絡するよう州は案内しています。
日当と仕事
州政府の呼び出し状のページ(新しいタブで開く)によると、2025年10月1日から、刑事・民事の裁判の陪審員に選ばれ、雇い主から給料を受け取っていない人には、務めの1日目から1日C$120が支払われます(2026年10月時点)。審理のある日はすべて対象で、週末や隔離された日も含みます。
- 選任の手続きに来ただけで選ばれなかった人には、支払いはありません。
- 支払いを受けるには、自己申告の用紙を出します。子どもの世話の費用や駐車料金は出ません。
- 裁判所から40km以上離れて住む人は、選任の手続きに来るための交通費を請求できます。
陪審法第41条は、雇い主に次のことを義務づけています。
- 呼び出された従業員に、務めに必要な期間の休み(給料の有無は問わない)を与えること。
- 戻ってきた従業員を元の仕事か、同じような仕事に、休む前より低くない給料で、勤続年数や手当を失わせずに戻すこと。これを守らない雇い主は、従業員の損失に責任を負います。
- 呼び出しに応じたことや陪審員を務めたことを理由に、解雇や処分をしたり、それをほのめかしたりした雇い主は、有罪になるとC$10,000以下の罰金か3か月以下の拘禁、またはその両方の対象です。
雇い主に休みの間の給料を払う義務はない、と州は案内しています。
手順
- 呼び出し状や資格の確認の用紙が届いたら、差出人と内容を確かめる。
- 市民権がないなど資格を満たさない場合も、その旨を書いて期限までに回答する。
- オンタリオ州の資格の確認の用紙は、受け取ってから30日以内に出す。資格がある場合は、指定された日に裁判所へ行く。免除や延期を求める事情があれば、回答のときに申し出る。
- わからないことは、州の窓口に問い合わせる。BC は保安官局(1-855-660-0605、メール bcjuryinquiry@gov.bc.ca)、オンタリオ州は陪審の窓口(1-800-498-8016、メール jury@ontario.ca)です(2026年10月時点)。
日本とのちがいと注意点だよ!
- 陪審員になれるかは国籍(カナダ市民権)で決まります。日本国籍のままカナダに住んでいる人は、BC とオンタリオ州では陪審員になりません。
- 日本の裁判員制度は、裁判所の裁判員制度Q&A(新しいタブで開く)によると、地方裁判所の重大な刑事事件(殺人、強盗致死傷など)で、裁判員6人と裁判官3人が一緒に、有罪かどうかと刑の重さを決める制度です。陪審員だけで有罪かどうかを決めるカナダの陪審とは仕組みが違います。
- 裁判員の候補者名簿は衆議院議員選挙の選挙人名簿から作られ、在外選挙人名簿は含まれません。裁判所は、海外転出届を出して選挙人名簿の登録がなくなっていれば、裁判員候補者として呼ばれることはないとしています。住民票を日本に残したままの場合は名簿に載ることがありますが、海外に住んでいることを理由に辞退を申し立てられます。
- BC 州政府は、陪審の呼び出しを装った詐欺があると注意しています。州の職員が法的措置で脅したり、社会保険番号(SIN)を聞いたりすることはないとしています。詐欺の手口は「よくある詐欺の手口」で扱います。
- 仕事を休む場合、オンタリオ州では雇い主は休みを与える義務がありますが、給料を払う義務はありません。給料が出ない陪審員には州から1日C$120が出ます(2026年10月時点)。
- 免除の条件や罰則は州ごとに違います。判断に迷うときは、州の窓口や弁護士に相談します。
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