山火事の煙と大気の質(Wildfire smoke、Air Quality Health Index、AQHI)
山火事の煙で健康に最も影響するのは微小粒子状物質(PM2.5)です。大気の質は大気質健康指数(AQHI)の1〜10+で示され、数字が大きいほど外での激しい運動を控える目安になります。体への影響、AQHIの見方、家と外での身の守り方を、カナダ保健省と環境・気候変動省の案内からまとめます。
山火事の煙が体に与える影響
山火事の煙は、大きな大気汚染のもとになります。カナダ保健省(Health Canada)は、煙の中で健康に最も影響するのは、とても小さな粒子である微小粒子状物質(Fine particulate matter、PM2.5)だと説明しています。
山火事そのものの備えや避難は「山火事の季節と備え」と「避難指示と避難警告」にまとめています。この記事では煙と大気の質だけを扱います。
よくある軽い症状
カナダ保健省の健康影響のページ(新しいタブで開く)は、次のような症状が多いとしています。ふつうは医療を受けなくてもおさまる症状です。
- 頭痛
- 軽いせき
- 鼻・のど・目・副鼻腔の刺激
注意が必要な症状
次の症状が出たときは、医療機関に相談するか、急いで受診するよう案内されています。
- ぜいぜいする呼吸(喘鳴)
- 胸の痛み
- ぜんそくの発作
- 息切れ
医療の緊急事態だと思うときは、911に電話してすぐに手当てを受けます。
影響を受けやすい人
カナダ保健省は、次の人が煙の影響を受けやすいとしています。
- 肺や心臓の病気など、持病のある人
- 65歳以上の人
- 乳幼児と小さな子ども
- 煙を避ける手段が限られる、生活が苦しい人
大気質健康指数(AQHI)の見方
大気質健康指数(Air Quality Health Index、AQHI)は、環境・気候変動省(Environment and Climate Change Canada、ECCC)が出す、大気の質と健康の目安です。ふだんは地表のオゾン、粒子状物質(PM2.5・PM10)、二酸化窒素の3つから計算します。山火事の煙が出ているときは、PM2.5だけを使って1時間ごとに計算します。
ECCCのAQHIのページ(新しいタブで開く)では、数字ごとに次の目安を示しています。ここでいう「影響を受けやすい人」は、子ども、65歳以上の人、持病のある人です。
| AQHI | 危険の度合い | 影響を受けやすい人 | 一般の人 |
|---|---|---|---|
| 1〜3 | 低い(Low) | ふだんどおり外で活動できる | ふだんどおり外で活動できる |
| 4〜6 | 中程度(Moderate) | せきやのどの刺激があれば、外での激しい運動を減らすか日を改めることを考える | 症状がなければ、ふだんどおり外で活動できる |
| 7〜10 | 高い(High) | 外での激しい運動を減らすか、日を改める | せきやのどの刺激があれば、外での激しい運動を減らすか日を改めることを考える |
| 10+ | 非常に高い(Very high) | 外での激しい運動を避ける | 外での激しい運動を減らすか日を改める(特に症状があるとき) |
AQHIの予報は、地元の時刻で6:00と17:00に出され、72時間先までを示します。地域ごとの数字はECCCの大気の質のページ(新しいタブで開く)や、ECCCの天気アプリ WeatherCAN で見られます。気象警報の全体の仕組みは「気象警報の見方」で扱います。
州・準州ごとの違い
大気の質の警報の出し方は、州・準州によって違うことがあります。ここではBCの例を挙げます。
| 州 | 警報の名前 | 出すところ |
|---|---|---|
| ブリティッシュコロンビア州(BC) | 大気質警報(Air Quality Warning) | 州の環境・公園省が州の保健当局と協力して出す。メトロバンクーバー地域では、メトロバンクーバーも大気の管理を分担 |
BC州政府によると、以前の「大気質注意報(Air Quality Advisory)」と「煙の空の情報(Smoky Skies Bulletin)」は、全国でわかりやすく統一するため「大気質警報(Air Quality Warning)」という名前に変わりました。ほかの州・準州の警報は、それぞれの政府の案内に従います。
煙の季節の前にできること
煙への備えのページ(新しいタブで開く)は、次の備えを挙げています。
- 必要な薬を家に用意し、山火事の季節は持ち歩く。
- 外にいなければならないときのために、顔に合ったN95マスク(米国NIOSHの認証を受けたもの)か、同等のKN95・KF94を用意する。
- 住んでいる地域のAQHIをどこで見るかを確かめておく。
- 部屋の広さに合った、認証を受けた持ち運びできる空気清浄機を1台以上用意することを考える。
- 換気設備のフィルターはメーカーの指示に従って交換し、できるだけ質の高いものを選び、予備を持っておく。
- 車のエアコンのフィルター(キャビンフィルター)を、メーカーの指示に従って交換する。
- 煙のときに健康をどう守るかを、医師などに相談しておく。影響を受けやすい家族がいる家庭は特に大事です。
- 煙探知機と一酸化炭素警報器が正しく動くか確かめる。
手順:煙が出ているとき
カナダ保健省の身の守り方のページ(新しいタブで開く)をもとにまとめます。
- AQHIと大気の質の警報を確かめる。
- 窓とドアをできるだけ閉める。
- 換気設備には、その設備が使える範囲で最も質の高いフィルターを使う。
- 細かい粒子を取り除ける、認証を受けた空気清浄機を使う。
- 外での激しい運動は、AQHIの数字と体調を見て減らすか、日を改める。
- 外に出るときは、顔に合ったN95などのマスクを使う。
- 車では窓を閉め、換気を内気循環にする。ときどき窓を開けて空気を入れ替え、車内に二酸化炭素がたまらないようにする。
- 家の空気をきれいに保てないときは、地域の「空気のきれいな場所(cleaner air spaces)」で煙から離れて休む。
手作りの空気清浄機
カナダ保健省は、箱型の扇風機にフィルターを付けた手作りの空気清浄機についても触れています。使うときは、2012年以降に作られた、安全ヒューズ付きの認証を受けた扇風機を使い、煙のあいだはフィルターをこまめに替えるよう案内しています。
マスクを使えない人
N95などのマスクは、2歳未満の子どもや、つけると息がしにくくなる人には使いません。
心の健康
カナダ保健省は、煙のときの心の健康についても触れ、つらいときは家族や友人、地域の人、医療者に話すことを勧めています。自殺を考えるほどつらいときは、24時間いつでも9-8-8に電話できます。
日本との違い・注意点
- カナダでは山火事の季節に、火から離れた町でも煙で空気が悪くなることがあります。AQHIは日本の天気予報ではあまり見ない指数なので、WeatherCAN などで見方に慣れておくと動きやすくなります。
- AQHIは「数字が大きいほど危険」の1〜10+の目安です。予報も出るので、ハイキングなど外の予定は数字を見て決められます。ハイキングの準備は「ハイキングの準備」で扱います。
- カナダ保健省は、空気清浄機やN95マスク、予備のフィルターを、煙の季節の前に用意しておくよう勧めています。
- 症状が重いとき、命に関わるときは911に電話します。
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