医療を比べる(カナダと日本の公的医療)
日本もカナダも、住民全員を公的な仕組みで保障する点は同じです。違うのは中身で、日本は医療費の一部(多くの人は3割)を窓口で払い、病院を自由に選べます。カナダは州の医療保険で医師と病院の診療は原則無料ですが、薬局の薬や歯科は多くが自己負担で、ふだんの受診はファミリードクターが窓口です。
どちらも「みんなが入る」公的医療
日本もカナダも、住んでいる人を公的な仕組みで広く保障しています。日本の厚生労働省の医療保険の資料(新しいタブで開く)は、日本の国民皆保険の特徴として「国民全員を公的医療保険で保障」「医療機関を自由に選べる(フリーアクセス)」などをあげています。
カナダは、国全体で1つの保険があるわけではありません。カナダ保健省のページ(新しいタブで開く)によると、州・準州がそれぞれ医療保険を運営し、医学的に必要とするサービスを決めています。仕組みのくわしい説明は「カナダの医療制度の仕組み」にあります。
同じ「公的医療」でも、窓口でのお金、どこに行くか、何がカバーされるかがかなり違います。
ざっくり比べると
| 項目 | 日本 | カナダ |
|---|---|---|
| 運営 | 国の制度のもとで、健康保険組合・国民健康保険などの保険者が運営 | 州・準州ごとの医療保険 |
| 医師・病院の窓口負担 | 義務教育就学後から69歳は3割、義務教育就学前は2割、70歳以上は1〜3割 | 州の保険の対象なら、多くの場合払わない |
| ふだんの受診先 | 医療機関を自由に選べる | ファミリードクターかウォークインクリニック |
| 専門医 | 医療機関を自由に選べる | ふつうは医師の紹介で受診 |
| 薬局の処方薬・歯科 | (この記事では扱っていません) | 多くの場合、公的保険の対象外 |
日本の窓口負担は厚生労働省の資料、カナダの内容はカナダ保健省と、移民・難民・市民権省(IRCC)の新しく来た人向けのページ(新しいタブで開く)によります。
窓口でお金を払うかどうか
日本では、診察を受けると、かかった医療費の一部を窓口で払います。厚生労働省の資料では、義務教育就学後から69歳までは3割、義務教育就学前は2割です。
カナダでは、IRCC のページが、公的な医療保険があれば多くの医療サービスにお金を払わずにすむと説明しています。病院やクリニックではヘルスカード(Health card)を見せます。
ただし、カナダで「無料」になるのは、医学的に必要な医師と病院のサービスが中心です。カバーされる範囲は「州の医療保険でカバーされるもの・されないもの」にまとめています。
薬と歯医者は、カナダでは別会計
カナダで気をつけたいのが、薬と歯科です。IRCC のページは、多くの場合、公的な医療保険は処方薬をカバーせず、ほとんどの歯科診療もカバーしないとしています。
カナダ保健省によると、州・準州は、高齢者、子ども、生活保護を受けている人など、特定の人に向けて、処方薬、歯科、目のケア、救急車などを上乗せでカバーしていることがあります。働いている人は、勤め先の保険(Group benefits)で薬や歯科を補うこともあります(「会社の福利厚生」)。
薬局で処方薬を受け取るときは、保険がなければ全額を自分で払うことになります。
どこに行くか:ファミリードクターが入口
日本では、近所のクリニックにも大きな病院にも、自分で選んで行けます。
カナダでは、IRCC のページのとおり、多くの人がファミリードクター(かかりつけ医)を持ち、医療が必要なときにまずそこへ行きます。専門医が必要なら、その医師が紹介します。ファミリードクターがいない人は、予約なしで行けるウォークインクリニックを使います。
ファミリードクターの探し方は「ファミリードクターの見つけ方」、紹介と待ち時間は「専門医の紹介と待ち時間」で扱っています。
ここに注意してね!
- カナダに着いてすぐは、州の医療保険を使えないことがあります。IRCC のページは、保険が始まるまで最大3か月待つことがあるとしています。州ごとの違いは「州の医療保険の待機期間」にあります。
- ウォークインクリニックは、その州・準州に住んでいない人には料金を求めることがあります。旅行者や、ほかの州から来た人は注意が必要です。
- 「窓口負担がない=すべて無料」ではありません。薬、歯科、眼鏡などの費用は、民間の保険や勤め先の保険で備えるかどうかを考えておくと安心です。
- 制度は州・準州で違い、在留資格によって入れるかどうかも変わります。自分が対象かどうかは、住む州の医療保険の窓口に確かめてください。
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