確定申告(Income tax and benefit return)の基本と期限
カナダでは、前の年(1月〜12月)の所得を、翌年の春にカナダ歳入庁(CRA)へ申告します。2025年分の申告と納税の期限は2026年4月30日で、本人か配偶者が自営業なら申告期限は6月15日でした。申告は給付やクレジットを受けるためにも必要です。
条件や金額は変わることがあります。手続きの前に、必ず公式の窓口やページで最新の情報を確認してください。個別の判断は、登録された専門家に相談してください。
カナダの確定申告とは
カナダでは、個人の所得税の申告書(Income tax and benefit return)を、1年に1回、カナダ歳入庁(Canada Revenue Agency、CRA)に出します。対象は1月1日から12月31日までの1年間の所得で、翌年の春に申告します。
給料から税金が天引きされている人も、申告をして、払いすぎていれば還付(refund)を受け、足りなければ納めます。カナダ政府の申告すべき人のページ(新しいタブで開く)は、カナダに住んで働き、税金を払う人で、クレジットや給付を受けたい人は申告するよう案内しています。名前に「benefit」とあるとおり、申告は税金の精算だけでなく、各種の給付やクレジットを受ける手続きも兼ねています。
税務上の居住者かどうか
申告の義務や内容は、税務上の居住者(resident)か非居住者(non-resident)かで変わります。CRAは、カナダに住まいがある、配偶者や扶養家族がカナダにいる、といった「重要な居住のつながり(significant residential ties)」をもとに判断します。重要なつながりがなくても、1年に183日以上カナダにいた人は「みなし居住者(deemed resident)」になることがあります。判断に迷うときは、CRAに意見を求める書類(入国した人は NR74)があります。詳しくは「税務上の居住者の判断」の記事で扱います。
州・準州の税金
所得税には連邦税と州・準州の税があります。CRAは、ケベック州を除く州・準州の個人所得税を、州・準州に代わって集めています。ケベック州に住む人は、ケベック州の税金の扱いが違います(「ケベック州の税金」)。
期限
2025年分(2026年に申告)の期限は次のとおりです。
| 内容 | 期限 |
|---|---|
| 申告 | 2026年4月30日 |
| 納税(不足分の支払い) | 2026年4月30日 |
| 本人か配偶者・コモンローパートナーが自営業の人の申告 | 2026年6月15日 |
| RRSPなどの掛け金の期限(2025年分の控除用) | 2026年3月2日 |
自営業の人も、CRAの日付の一覧では、納税の期限は4月30日です。2026年分の期限は、CRAの重要な日付のページ(新しいタブで開く)に載ります。
遅れたとき
期限までに申告せず、納める税金がある場合は、遅延申告のペナルティがかかります。2025年分では、未納額の5%に、遅れた1か月ごとに未納額の1%(最大12か月)が加わります。過去にもペナルティを受け、申告の要求を受けていた場合は、未納額の10%と1か月ごとに2%(最大20か月)になります。未納の税金には、期限の翌日から日ごとの複利で利息がかかります。
申告に使う書類
- 税務書類(tax slips):雇用主などが作ります。給料は T4(Statement of Remuneration Paid)、利息などの投資収入は T5、大学などの授業料は T2202 です。CRAは、多くの書類は2月末までに届くとしています。なくした書類はCRAで写しを取れます(「T4などの税務書類」)。
- 社会保険番号(SIN):申告に使います(「社会保険番号(SIN)」)。
- 領収書:控除やクレジットに使うもの。
手順
- 税務書類(T4など)と領収書をそろえる。
- 申告の方法を選ぶ。
- 認定ソフトとNETFILE:CRAが認定したソフトで作り、インターネットで送ります。2026年は、2026年2月23日から2027年1月29日まで送信を受け付けています。
- 紙の申告書:申告書類一式で作り、郵送します。
- SimpleFile:所得が低く税の状況が単純な人向けの無料サービス。条件があります。
- 無料の申告支援(Free tax clinics):ボランティアが無料で申告書を作ります。
- 税理士などの専門家:有料で、EFILEで送ります。
- 期限までに申告し、不足分があれば4月30日までに納める。
- 査定通知(Notice of Assessment)を受け取り、内容を確かめる(「査定通知と還付」)。
CRAの処理期間のページ(新しいタブで開く)とサービス基準(新しいタブで開く)によると、期限内に出した申告の査定通知は、電子申告(NETFILEなど)で受け取ってから2週間以内、紙で12週間以内に出すことが目標です(2026年10月時点)。亡くなった人、破産した人、非居住者、カナダを出た人の申告や、複数年分をまとめて出した場合、CRAから問い合わせがある場合は、この期間は当てはまりません。非居住者の申告の処理は16週間です。
費用
申告そのものに手数料はかかりません。2026年10月時点で、次の無料の方法があります。
- SimpleFile(条件を満たす人)
- 無料の申告支援(Community Volunteer Income Tax Program、CVITP):世帯所得の目安は、1人ならC$40,000、2人ならC$55,000、3人ならC$60,000、4人ならC$65,000、5人ならC$70,000(以後1人ごとにC$5,000を加算)。自営業の収入、家賃収入、C$1,200を超える利息、キャピタルゲイン、外国の財産や多くの外国の所得がある場合などは対象外です(「無料の申告支援と申告ソフト」)。
認定ソフトには無料のものと有料のものがあります。税理士などに頼む場合は有料です。
日本とのちがいと注意点だよ!
- 日本では、国税庁のタックスアンサー(新しいタブで開く)が説明するとおり、大多数の給与所得者は勤め先の年末調整で所得税の精算が終わり、確定申告はいりません。カナダでは、給料から税金が天引きされている人も、自分で申告書を出して精算します。申告の期限は、2025年分なら翌年の4月30日でした。
- 申告は給付を受ける手続きも兼ねています。たとえば、2026年7月に GST/HST クレジットから名前が変わった Canada Groceries and Essentials Benefit(CGEB)は、CRAが毎年の申告をもとに対象かどうかを判断します(「GST/HSTクレジット」)。
- CRAは、還付金がC$2以下の場合は払い戻さないとしています。また、納めていない税金などがあると、還付金の一部または全部を差し引くことがあります(2026年10月時点)。
- 初めての申告は、カナダに来た日より前の所得の扱いなど、注意する点があります(「新しく来た人の初めての確定申告」)。
- 日本の所得や、日本とカナダの両方での課税の扱いは、個別の事情で変わります。判断はCRAか税理士に相談します。
この記事をシェアする