税務上の居住者(Residency status for tax purposes)の判断
カナダの所得税は、在留資格ではなく、カナダとの「居住のつながり(residential ties)」で居住者か非居住者かを判断します。住まい・配偶者・扶養家族がカナダにあるかが特に重視され、つながりがなくても1年に183日以上滞在すると「みなし居住者」になることがあります。
条件や金額は変わることがあります。手続きの前に、必ず公式の窓口やページで最新の情報を確認してください。個別の判断は、登録された専門家に相談してください。
税務上の居住者とは
カナダの所得税では、その年に税務上の居住者(resident)だったか、非居住者(non-resident)だったかで、申告の内容や課税される所得の範囲が変わります。
この判断は、永住権や就労許可といった在留資格だけでは決まりません。カナダ歳入庁(Canada Revenue Agency、CRA)は、その人とカナダとの「居住のつながり(residential ties)」を全体として見て判断します。ワーキングホリデーや留学で来た人も、つながりの強さによっては居住者になります。
居住のつながり
重要なつながり(significant residential ties)
CRAが特に重視するのは、次の3つです。
- カナダにある住まい(home)
- カナダにいる配偶者またはコモンローパートナー
- カナダにいる扶養家族(dependants)
CRAの解釈通達(Income Tax Folio S5-F1-C1)は、この3つを「ほぼ常に重要なつながり」として扱うとしています。
補助的なつながり(secondary residential ties)
ほかに、次のようなつながりも考慮されます。
- カナダにある身の回りの財産(車、家具など)
- 社会的なつながり(カナダのレクリエーションや宗教の団体の会員など)
- 経済的なつながり(カナダの銀行口座、クレジットカード、カナダの雇用主のもとでの仕事など)
- 州・準州の医療保険、州・準州の運転免許、州・準州で登録した車
- 永住権や就労許可など、カナダでの在留資格
居住の区分
CRAの居住の判断のページ(新しいタブで開く)は、次の区分を説明しています。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 事実上の居住者(factual resident) | カナダとの居住のつながりを保ったまま、一時的に国外で働いたり学んだりしている人など |
| みなし居住者(deemed resident) | 重要なつながりがないが、その年にカナダに合計183日以上滞在した人など |
| 非居住者(non-resident) | 1年を通してカナダ国外に住んでいた人、または重要なつながりがなく、その年のカナダ滞在が183日未満だった人 |
| みなし非居住者(deemed non-resident) | カナダの事実上の居住者でもあるが、カナダと租税条約を結ぶ国とのつながりがあり、条約上その国の居住者とされる人 |
183日のルール
CRAの解釈通達では、カナダとの十分なつながりがなく事実上の居住者ではない人でも、1暦年にカナダに一時的に滞在(sojourn)した日数が合計183日以上になると、その年の全体についてカナダの居住者とみなされます。この場合、その年を通じた全世界の所得がカナダの課税の対象になります。
租税条約との関係
カナダの居住者にも当たり、同時に租税条約を結ぶ相手国の居住者にも当たる場合は、条約の決まりでどちらの国の居住者かを決めます。CRAの解釈通達は、その最初の基準として、恒久的な住まい(permanent home)がどちらの国にあるかを挙げています。条約上、相手国の居住者とされると、カナダでは「みなし非居住者」になります。日本とカナダの間の条約については「日加租税条約」の記事で扱います。
カナダに来た年
CRAの解釈通達によると、カナダに入国して居住のつながりを持った人は、通常、入国した日にカナダの居住者になります。CRAは、税務上の居住者になった最初の年の人を「新しく来た人(newcomer)」と呼んでいます。
CRAの新しく来た人向けのページ(新しいタブで開く)は、居住者になる前に得た所得にはカナダの税金がかからないとしています。ただし、給付やクレジットの申請では、居住者になる前の最長2年分の国外の所得を報告する必要があります。初めての申告の流れは「新しく来た人の初めての確定申告」で説明します。
手順
居住者かどうかを確かめるときの流れです。
- 住まい・配偶者・扶養家族がカナダにあるかを確かめる。
- 車、銀行口座、医療保険、運転免許など、補助的なつながりを書き出す。
- その年にカナダに滞在した日数を数える。
- 日本など、ほかの国でも居住者に当たらないかを確かめる。
- 判断に迷うときは、CRAに意見を求める。入国した人は NR74(Determination of Residency Status (Entering Canada))、出国する人は NR73(Determination of Residency Status (Leaving Canada))を使います。
日本とのちがいと注意点だよ!
- 日本の所得税法では、国内に「住所」があるか、引き続き1年以上「居所」がある人を居住者としています。住所は生活の本拠のことで、客観的な事実で判定されます(国税庁のタックスアンサー(新しいタブで開く))。カナダの判断の基準とは言葉も考え方も違います。
- そのため、日本とカナダの両方で居住者に当たることがあります。その場合は租税条約で扱いが決まります。
- カナダでは、在留資格が一時的なもの(ワーキングホリデー、学習許可など)でも、住まいなどのつながりがあれば居住者になることがあります。
- カナダを離れる年の扱いは「カナダを離れるときの税金」、日本の収入や資産の申告は「日本の収入・資産の申告」で扱います。
- 居住の判断は、個々の事情を全体として見て行われます。自分がどの区分に当たるかは、CRAか税理士に相談します。
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