日本の収入・資産の申告(T1135、Foreign Income Verification Statement)
カナダの税務上の居住者は、日本の収入を含む世界中の所得をカナダで申告します。日本の預金や株式など外国の財産の取得費が合計C$100,000を超えた年は、確定申告の期限までに Form T1135 を出します。居住者になった最初の年は T1135 は不要です。
条件や金額は変わることがあります。手続きの前に、必ず公式の窓口やページで最新の情報を確認してください。個別の判断は、登録された専門家に相談してください。
2つの義務:所得の申告と財産の報告
日本に収入や資産がある人がカナダの税務上の居住者になると、カナダ歳入庁(Canada Revenue Agency、CRA)に対して、次の2つが関わります。
- 所得の申告:日本で得た収入も、カナダの確定申告に入れます。
- 外国の財産の報告:日本の預金や株式などの取得費が一定額を超えると、Form T1135(外国所得確認書、Foreign Income Verification Statement)を出します。T1135は財産の一覧の報告で、税金の計算そのものではありません。
税務上の居住者かどうかの判断は、「税務上の居住者の判断」で扱います。
世界中の所得を申告する
CRAの新しく来た人の申告のページ(新しいタブで開く)によると、居住者だった期間については、カナダの内外すべての所得(world income)をカナダドルで申告します。
日本からの次のような収入も、居住者の期間の分は対象になりえます。
- 日本の銀行預金の利子
- 日本の株式の配当や、売ったときの利益
- 日本の不動産を貸して得た家賃
- 日本の会社から受け取る給料や報酬
居住者になる前に日本で得た収入には、カナダの税金はかかりません。居住者になった年の申告の書き方は「新しく来た人の初めての確定申告」で扱います。
カナダドルに直す
外国の金額は、カナダドルに直して申告します。CRAは、受け取った日のカナダ銀行(Bank of Canada)の為替レートを使うとしています。1年に何度も受け取る収入は、年平均のレートを使える場合があります。
二重課税をなくす外国税額控除
日本でも税金がかかった所得は、カナダで外国税額控除(federal foreign tax credit)を使えることがあります。CRAの外国税額控除のページ(新しいタブで開く)によると、主な条件は次のとおりです。
- その年のどこかの時点でカナダの居住者だったこと
- 外国で税金を払った所得を、カナダの申告に入れていること
計算は Form T2209 で行い、国ごとに「外国で払った税金」と「その所得にかかるカナダの税金」の少ない方が上限です。州の分は、ケベック州以外では Form T2036 を使います。ケベック州の人は、州の分をケベック州歳入庁(Revenu Québec)に出す州の申告で扱います。日本とカナダの間の課税の分け方は「日加租税条約」で扱います。
ケベック州の場合
Revenu Québec の409行のページ(新しいタブで開く)によると、州の申告書(TP-1)の409行で外国税額控除を請求できるのは、次の両方に当たる人です。
- その年の12月31日(またはカナダの居住者でなくなった日)にケベック州に住んでいた
- その所得に、外国の政府などに所得税を払った
事業以外の所得の控除は、外国で払った税金から、CRAの外国税額控除で認められた分を差し引いた額が上限です。税金を払った国ごとに Form TP-772-V(Foreign Tax Credit)を1枚ずつ付けます。また、Revenu Québec は、新しく住む人のうち、外国の投資からの収入や外国の年金がある人、住み始めた日に持っていた財産を売る人には特別なルールがあると案内しています(新しく住む人の申告のページ(新しいタブで開く))。
T1135(外国の財産の報告)
出す必要がある人
CRAのT1135のページ(新しいタブで開く)によると、カナダの居住者で、その年のどこかの時点で、外国の特定の財産(specified foreign property)の取得費(cost amount)の合計がC$100,000を超えた人が出します。
- 基準は時価ではなく取得費です。
- 年の途中で売ってしまっても、1度でもC$100,000を超えていれば対象です。
- 居住者になった最初の年は出さなくてよいとされています。
- 新しく居住者になった人の財産の取得費は、居住者になった時点の時価(fair market value)で考えます。
対象になる財産・ならない財産
| 対象になる主なもの | 対象にならない主なもの |
|---|---|
| カナダの外にある預金などのお金 | 自分で使う財産(personal-use property。主に自分で住む別荘など) |
| 外国の会社の株式 | 事業で実際に使っている財産(active business) |
| カナダの外にある有形の財産(貸している不動産など) | RRSPやTFSAの中にある外国の財産 |
| 外国の人や会社に貸しているお金 | |
| 外国の保険契約の持ち分 | |
| カナダの外に置いている貴金属・金証券など |
2つの書き方
| 取得費の合計 | 書き方 |
|---|---|
| C$100,000超、C$250,000未満 | Part A(簡単な方法)。財産の種類に印をつける |
| C$250,000以上 | Part B。財産ごとに詳しく書く |
個人は、T1135を確定申告と同じように電子申告できます。期限は確定申告の期限と同じです。
手順
- その年に居住者だった期間を確かめる。
- 日本の収入(利子・配当・家賃・給料など)を集め、カナダドルに直して申告書に入れる。
- 日本で税金を払った所得があれば、T2209で外国税額控除を計算する。
- 日本の預金や株式などの取得費の合計が、年のどこかでC$100,000を超えたかを確かめる。
- 超えていれば、確定申告の期限までにT1135を出す(居住者になった最初の年を除く)。
費用
CRAの罰則の表(新しいタブで開く)による、T1135の主な罰則です(2026年10月時点)。
| 場合 | 罰則 |
|---|---|
| 期限までに出さなかった | 1日C$25、最長100日(最低C$100、最大C$2,500) |
| 故意または重大な過失で出さなかった | 1か月C$500、最長24か月(最大C$12,000。すでに科された分を引く) |
| 上の状態が24か月を超えた | 財産の取得費の5%(すでに科された分を引く) |
T1135を遅れて出したり、内容が不正確だったりして、外国の財産からの所得を申告していなかった場合は、CRAが査定をやり直せる期間が3年延びます。
日本とのちがいと注意点だよ!
- カナダの居住者になると、日本の預金の利子や配当なども、カナダの申告の対象になります。日本で税金が引かれていても、カナダで申告しなくてよいことにはなりません。
- T1135は、税金がかからない場合でも、条件に当てはまれば出す書類です。出し忘れには日割りの罰則があります。
- 基準は時価ではなく取得費です。財産をいつ、いくらで取得したかの記録を残しておくと、判断がしやすくなります。
- 日本の財産や収入の扱いは個人の状況で変わります。判断は CRA や税理士に相談してください。
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