ケベック州の「静かな革命」(Révolution tranquille、Quiet Revolution)
1960年代のケベック州では、州政府が教育や電力などの分野で大きな役割を持つようになる急速な変化が起きました。これを「静かな革命」と呼びます。1960年の州選挙から、教育省の設置、電力の州営化、セジェップ(CEGEP)の誕生までをまとめます。
「静かな革命」とは
「静かな革命」(フランス語で Révolution tranquille、英語で Quiet Revolution)は、1960年代のケベック州で起きた急速な変化を指す言葉です。市民権の学習用ガイド「Discover Canada の現代のカナダの章(新しいタブで開く)」は、ケベック州が1960年代に「静かな革命」と呼ばれる急速な変化の時代を経験したと説明しています。
武力による革命ではなく、州政府が教育、電力、社会保障などの分野で大きな役割を持つようになった、制度の変化を指します。いまのケベック州の学校の仕組みや州営の電力会社は、この時代に形づくられました。
1960年の州選挙
1960年代の改革を進めたのは、1960年6月22日の州議会選挙で生まれた州政府です。ケベック州議会(Assemblée nationale du Québec)の第26議会の歴史の解説(新しいタブで開く)によると、ジャン・ルサージュ(Jean Lesage)の率いる自由党が51.4%の票を得て、51議席を獲得しました(ユニオン・ナショナルは46.6%、43議席)。
新しい内閣は1960年7月5日に発足し、すぐに次のような動きが始まりました。
| 日付(1960年) | できごと |
|---|---|
| 7月6日 | ポール・ジェラン=ラジョワ(Paul Gérin-Lajoie)に教育の担当が任される |
| 7月11日 | 入院保険(assurance-hospitalisation)の導入に向けた話し合いを始める |
| 8月4日 | ルネ・レヴェック(René Lévesque)が、民間の電力会社に新しく水力の権利を与えない方針を発表 |
教育の改革
教育は、静かな革命の中心になった分野のひとつです。ケベック州議会図書館の教育史の解説(新しいタブで開く)をもとに、主な流れをまとめます。
| 年 | できごと |
|---|---|
| 1961年 | 教育についての王立調査委員会(通称「パラン委員会」、Commission Parent)ができる |
| 1964年1月 | 教育省と教育高等評議会(Conseil supérieur de l’éducation)をつくる法律(Bill 60)が成立 |
| 1964年5月13日 | ジェラン=ラジョワが初代の教育大臣になる |
| 1967年9月 | 法律にもとづき、最初の12のセジェップ(cégep、一般・職業教育カレッジ)が開校 |
| 1968年 | ケベック大学(Université du Québec)のネットワークをつくる法律ができる |
セジェップは、高校を終えたあと、大学の前に進む学校です。いまも続くケベック州独自の仕組みで、学校制度の全体はケベック州の学校制度で扱います。
電力の州営化
州営の電力会社イドロ・ケベック(Hydro-Québec)の歴史の年表(新しいタブで開く)によると、流れは次のとおりです。
- 1960年、ルサージュ政権が、まだ民間に権利を与えていない水力発電所の開発と運営を、イドロ・ケベックだけに任せる
- 民間の配電会社を買い取るかどうかを争点に、1962年11月14日の州選挙が行われ、ルサージュが再選される
- 1963年5月1日、州政府が民間の配電会社を順に買い取ることを認め、イドロ・ケベックが州全体の電力会社になる
- 民間の配電会社、電力の協同組合、市の電力網など、約80の事業者を買い取る。この段階の費用は合計6億400万ドル
静かな革命のあと
静かな革命の時代には、言語やケベック州の位置づけも大きな話題になりました。Discover Canada は、次のようなできごとを挙げています。
- 1963年、連邦議会が「二言語・二文化についての王立委員会」をつくり、1969年の連邦の公用語法につながる(公用語)
- 多くのケベック州の人々がカナダからの分離を求め、主権を問う州民投票が1980年と1995年に行われたが、2回とも否決された
州の言語政策は、1969年のフランス語を広める法律(Loi 63)から、1977年のフランス語憲章(Bill 101)へと続きます(ケベック州のフランス語憲章)。
日本との違い・注意点
- 「革命」という言葉が使われていますが、選挙で選ばれた州政府が進めた制度の改革を指します。
- カナダでは、教育や医療の多くが州の担当です。静かな革命でケベック州が自分たちの制度を整えたことが、いまもケベック州の制度がほかの州と違う理由のひとつになっています。
- ケベック州の主権や、カナダの中での位置づけは、いまも議論が続く話題です。立場によって受け止め方が違うため、会話では相手の考えを尊重します。
- 6月24日のケベック州の祝日(Fête nationale)については、ケベック州の祝日で扱います。
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