ケベック州のフランス語憲章(Charte de la langue française、Bill 101・Bill 96)
ケベック州では、1977年のフランス語憲章(Bill 101)がフランス語を州の唯一の公用語と定めています。2022年の改正(Bill 96)で、州の役所のサービスは2023年6月1日から原則フランス語のみになり、店の看板や職場、学校の言語にもルールがあります。暮らしに関わる点をまとめます。
フランス語憲章とは
フランス語憲章(Charte de la langue française、英語では Charter of the French language)は、ケベック州の法律です。1977年に成立し、議会での法案番号から「Bill 101(Loi 101)」とも呼ばれます。
ケベック州政府のフランス語についてのページ(新しいタブで開く)は、フランス語を「ケベック州の公用語であり共通語」と説明しています。仕事、教育、商売、日常生活、行政、裁判などで、フランス語が「ふつうに使われる言語」であることを目指す法律です。
連邦の公用語は英語とフランス語の2つですが(公用語(英語とフランス語))、ケベック州の中の言語のルールは、この州の法律が中心になります。
運用を担うのは、ケベック・フランス語局(Office québécois de la langue française、OQLF)です。
これまでの流れ
OQLFの年表(新しいタブで開く)をもとに、主なできごとをまとめます。
| 年 | 法律 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 1969年 | フランス語を広める法律(Loi 63) | フランス語を仕事の言語にし、看板でフランス語を優先する目標を置く |
| 1974年 | 公用語法(Loi 22、州の法律) | 看板にフランス語を義務づけ、州と取引する企業にフランス語化の計画を求める |
| 1977年 | フランス語憲章(Loi 101) | 看板はフランス語のみとし、従業員50人以上のすべての企業にフランス語化を求める |
| 1993年 | 憲章の改正 | 看板は「フランス語がはっきり優位(nette prédominance)」であればほかの言語も使える形に |
| 2022年 | ケベック州の公用語であり共通語であるフランス語に関する法律(Loi 96) | 6月1日に成立。憲章の大きな改正 |
現在の条文は、ケベック州の法令サイト LégisQuébec のフランス語憲章のページ(新しいタブで開く)で読めます。第1条は、フランス語をケベック州の公用語とし、この地位をもつのはフランス語だけだと定めています。
2022年の改正法は、フランス語の正式名を Loi sur la langue officielle et commune du Québec, le français といい、法案番号から「Bill 96(Loi 96)」と呼ばれます。改正の多くは、何段階かに分けて施行されています。
州の役所の言語(2023年6月1日から)
ケベック州政府のページ(新しいタブで開く)によると、2023年6月1日から、州の行政機関(civil administration)は、ほかの言語を使うことを認められている場合を除き、サービスをフランス語のみで行います。
フランス語以外の言語を使える場合として、ページには次のような例が挙げられています。
- 2021年5月13日より前に英語だけでやりとりしていた人の、その件についての連絡
- 英語で教育を受ける資格があると認められた人が求めた場合
- 先住民へのサービス
- 移民の人がケベック州に着いてから6か月の間、社会に溶け込むための支援として、フランス語に加えてほかの言語を使う場合
- 観光に関するサービス
- ケベック州の外で行うサービス
ほかの言語でのサービスを求めるとき、証明書類は必要なく、自分が該当すると誠実に申し出れば足りるとされています。ただし、行政機関はできるかぎりフランス語を使います。どの場面でほかの言語を使えるかは、機関ごとに決まりを作っています。
店や会社に関わるルール
OQLFの改正の説明(新しいタブで開く)から、暮らしに関わる主な点です。
- 看板:2025年6月1日から、建物の外から見える看板では、ほかの言語の商標や社名が入る場合も、フランス語がはっきり優位でなければなりません。
- 企業のフランス語化:2025年6月1日から、従業員が25〜49人の企業も OQLF への登録が必要になりました(1977年の憲章では50人以上が対象でした)。
- 職場の言語:働く人には、フランス語で仕事をする権利があります(憲章第4条)。雇用主は、採用・異動・昇進などの条件として、フランス語以外の言語の知識を求めることが原則として禁じられています。仕事にどうしても必要な場合だけ求められますが、その前に、求めずに済むよう合理的な手段をすべてとる必要があります(第46条)。
- 買い物やサービス:消費者には、商品やサービスについてフランス語で案内を受け、フランス語で対応してもらう権利があります(第5条)。
- 契約書:2023年6月1日から、定型の契約(contrat d’adhésion。事業者があらかじめ内容を決めている契約)では、フランス語版を客に渡すことが義務になりました。条文(第55条)では、フランス語版を渡したあとで、当事者がはっきり望んだ場合に限り、ほかの言語の版で契約できます。
子どもの学校の言語
ケベック州政府の英語での教育の資格のページ(新しいタブで開く)によると、幼稚園(preschool)、小学校、中学・高校の授業の言語は、フランス語憲章が認める場合を除いてフランス語です。
英語の学校に通えるのは、資格(eligibility)が認められた子どもです。たとえば、ケベック州に住み続ける子どもで、親がカナダ市民であり、親がカナダで英語の小学校に通っていた場合などです。
一時的にケベック州に住む人の子ども(仕事や勉強で一時的に住む外国人の扶養する子どもなど)は、英語で教育を受ける一時的な許可を受けられることがあります。この許可には期間の上限についての特別なルールがあります。駐在や留学で子どもを連れていく人は、学校選びの前に確かめておく必要があります。詳しくはケベック州で英語学校に通う資格で扱います。
手順
ケベック州で暮らし始める人が、言語の面で確かめておくことの例です。
- 州の行政機関の手続きはフランス語が基本だと知っておく。着いてから6か月の例外があることも確かめる。
- 子どもがいる場合は、英語の学校に通う資格や一時的な許可の対象になるかを、学校や州の教育省の窓口に確かめる。
- フランス語を学ぶなら、州の窓口フランシザシオン・ケベック(Francisation Québec)を調べる(ケベック州のフランス語講座)。
ここに注意してね!
- カナダの公用語は英語とフランス語ですが、ケベック州の中では州の法律でフランス語が唯一の公用語です。「カナダだから英語で通じる」とは限らず、州の役所では原則フランス語の対応になります。
- 連邦の公用語法も、その目的の一つとして、ケベック州でフランス語が多数派の社会が続くよう進めることを挙げています(公用語法の条文(新しいタブで開く))。
- ケベック州政府は、規制のある職業(専門職)に就くには OQLF のフランス語試験に合格し、免許を得る必要があると説明しています。ケベック州で資格の必要な仕事をする予定の人は、職業団体(ordre professionnel)の案内も確かめてください。
- 法律の内容は段階的に施行され、細かいルールは場面ごとに違います。仕事や学校、契約で判断が必要なときは、OQLF、州の担当部署、弁護士やケベック州の公証人(notaire)に相談できます。移民の手続きでのフランス語の要件は、ケベック州の移民とフランス語の要件で扱います。
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