国の薬代補助(National Pharmacare・Pharmacare Act)の対象
2024年10月10日に成立したファーマケア法(Pharmacare Act)にもとづき、連邦政府と協定を結んだ州・準州では、避妊薬と糖尿病の薬が薬局で無料になります。2026年10月時点で協定を結んでいるのはBC・マニトバ州・PEI・ユーコン準州の4つです。ほかの州・準州では、これまでの州の薬代補助を使います。
条件や金額は変わることがあります。手続きの前に、必ず公式の窓口やページで最新の情報を確認してください。個別の判断は、登録された専門家に相談してください。
国のファーマケアとは
カナダの処方薬は、州の医療保険(BCのMSP、オンタリオ州のOHIPなど)の対象外であることが多く、州ごとの薬代補助や勤め先の保険で負担を軽くしてきました(「州の薬代補助」)。
これに対して、連邦政府が州・準州と協力して薬代の負担を減らす仕組みが、国のファーマケア(National Pharmacare)です。2026年10月時点では「第1段階」として、避妊薬と糖尿病の薬だけが対象です。すべての処方薬が無料になったわけではありません。
ファーマケア法(Pharmacare Act)
ファーマケア法(新しいタブで開く)(Pharmacare Act、S.C. 2024, c. 24)は、2024年10月10日に国王の裁可(Royal Assent)を受け、その日に施行されました。
法律の主な内容は次のとおりです。
- 処方薬を手に入れやすく、払いやすくすることを目的とする
- 保健大臣は、避妊と糖尿病の薬について、州・準州に資金を出せる。対象の人が最初の1ドルから自己負担なしで使える仕組み(universal, single-payer, first-dollar coverage)のための資金です
- カナダ医薬品庁(Canada’s Drug Agency)に、必須の処方薬のリストづくりを求める
- 薬の一括購入の戦略をつくる
- 国のファーマケアの運営と財源を検討する専門家委員会を置く
法律そのものは、薬を無料にする仕組みを直接つくるものではありません。実際に薬局で無料になるのは、連邦政府と協定を結んだ州・準州の住民です。
対象の薬
Health Canadaのページ(新しいタブで開く)によると、協定のある州・準州では、次のような薬が薬局で無料になります。
| 種類 | 主な対象 |
|---|---|
| 避妊 | 経口避妊薬(ピル)、銅付加・ホルモン付加の子宮内避妊具(IUD)、膣リング、皮下インプラント、注射 |
| 糖尿病の薬 | メトホルミン、インスリン、スルホニル尿素薬、SGLT-2阻害薬 |
| 糖尿病の用品 | 州・準州によっては、インスリンポンプ、注射器、血糖測定器、試験紙なども |
具体的にどの製品が対象かは、州・準州ごとのリスト(フォーミュラリー)で決まります。対象を説明するページ(新しいタブで開く)は、リストにある製品の代金と調剤料(dispensing fee)だけが対象で、配達料や薬剤師が処方するときの料金は対象外だとしています。
州・準州ごとの違い
協定の一覧(新しいタブで開く)によると、2026年10月時点で協定を結んでいるのは次の4つです。
| 州・準州 | 協定の締結日 | 対象になる人 |
|---|---|---|
| ブリティッシュコロンビア州(BC) | 2025年3月6日 | MSPに入っているBCの住民 |
| マニトバ州 | 2025年2月27日 | マニトバ州の医療保険に登録し、給付を受けられる人 |
| プリンスエドワードアイランド州(PEI) | 2025年3月7日 | 有効なPEIヘルスカードを持つPEIの住民 |
| ユーコン準州 | 2025年3月20日 | 合法的にカナダにいて、ユーコン準州に住まいを置きふだん準州にいる人(旅行者などは除く) |
ここにない州・準州(オンタリオ州、ケベック州、アルバータ州など)について、Health Canadaは州・準州の保健省に公的な薬代補助を問い合わせるよう案内しています。
BC:Plan NP
BC州政府のページ(新しいタブで開く)によると、BCでは2026年3月1日に「BC PharmaCare National Pharmacare plan(Plan NP)」が始まりました。
- 対象:MSPに入っているBCの住民。BCの薬局で調剤された薬にかぎる
- 対象の薬:糖尿病の薬、更年期のホルモン療法の薬、避妊薬(緊急避妊薬を含む)
- 使い方:処方箋とBCサービスカード(BC Services Card)を薬局で出す。登録や領収書の提出は要らない
- 一部の糖尿病の薬は、処方する人が事前に特別承認(Special Authority)を申請する必要がある
マニトバ州
カナダとマニトバ州の協定(新しいタブで開く)によると、対象はマニトバ州の医療保険(Health Services Insurance Act にもとづく保険)に登録し、給付を受けられる人です。先住民サービス省やカナダ軍、退役軍人省など、連邦の薬の給付を受けている人は、これまでどおりその仕組みを使います。協定では、マニトバ州の実施日(無料で使えるようになる日)は2025年4月15日です。協定の期間は2029年3月31日までです。
PEI
PEI州政府の国のファーマケアのページ(新しいタブで開く)によると、PEIでは2025年5月1日から、一部の糖尿病の薬と避妊薬が無料になりました。血糖値の試験紙の補助も広がりました。
- 対象:薬代補助法(Drug Cost Assistance Act)でいうPEIの住民で、有効なPEIヘルスカードを持ち、対象リストの薬を使う人
- 申し込み:要りません。条件を満たせば自動で対象になります(試験紙だけは、州の糖尿病の薬のプログラムへの登録が必要)
- 薬局:PEI州内の薬局で調剤した薬にかぎります。州外の薬局の分や、2025年5月1日より前に買った分は払い戻されません
- ジェネリック(後発薬)があるのに先発品を選ぶと、差額を自分で払います。一部の薬は特別承認(special authorization)が必要です
- 試験紙は、2026年10月時点で100枚あたりC$11.00の自己負担です
PEIを離れて別の州に住むと、その日に対象から外れます。
ユーコン準州
カナダとユーコン準州の協定(新しいタブで開く)によると、対象の「住民」は、カナダに合法的にいることができ、ユーコン準州に住まいを置いてふだん準州にいる人です。旅行者や一時的に滞在する人、訪問者は含みません。連邦の薬の給付に入っている人は、これまでどおりその仕組みを使います。協定の期間は2029年3月31日までです。対象の薬と使い方は、準州の保健・社会サービス省(Department of Health and Social Services)か薬剤師にたずねます。
手順
- 住んでいる州・準州が協定を結んでいるかを確かめる。
- 州・準州の医療保険に入っているかを確かめる(BCではMSP)。
- 医師や処方できる薬剤師から処方箋をもらう。
- 州・準州内の薬局で、処方箋とヘルスカードを出す。
- 対象外の製品だった場合は、同じ成分で対象になる製品に替えられるか薬剤師に相談する。
費用
2026年10月時点で、協定のある州・準州では、リストにある避妊薬・糖尿病の薬の代金と調剤料が無料です。配達料など、ほかの料金は自分で払うことがあります。協定のない州・準州では、州の薬代補助や勤め先の保険などのルールで負担が決まります。
日本とのちがいと注意点だよ!
- 日本の公的医療保険では、処方薬も保険の対象になります。カナダでは処方薬が州の医療保険の対象外であることが多く、国のファーマケアも、2026年10月時点では避妊薬と糖尿病の薬にかぎられます。
- 無料になるかどうかは、住んでいる州・準州で決まります。州・準州をまたいで引っ越すと、使える仕組みが変わります(「州をまたぐ引っ越しと医療保険」)。
- 州・準州の医療保険に入っていない人(待機期間中の人や対象外の在留資格の人)は、国のファーマケアの対象にもなりません。
- 対象になる薬や手続きは州・準州ごとに違います。自分が対象かどうかは、州・準州の保健省か薬剤師に問い合わせてください。
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