呼び方と用語の注意(Indigenous peoples terminology)
カナダ連邦政府は、先住民の総称として「Indigenous peoples」、それぞれの民族を「First Nations」「Inuit」「Métis」と呼んでいます。「Aboriginal」「Indian」は法律の中に残る用語です。ニュースや役所の書類を読むときに知っておきたい呼び方の基本をまとめます。
総称は「Indigenous peoples(先住民)」
先住民関係・北方問題省(Crown-Indigenous Relations and Northern Affairs Canada、CIRNAC)は、「Indigenous peoples」を北アメリカにもともと暮らしていた民族とその子孫をまとめて呼ぶ名前だと説明しています(CIRNACのページ(新しいタブで開く))。
英語では「peoples」と複数形になっています。カナダの憲法が認める先住民は、ファースト・ネーションズ(First Nations)、イヌイット(Inuit)、メティス(Métis)の3つで、CIRNAC はそれぞれ固有の歴史、言語、文化、精神的な信仰を持つ別々の民族だとしています。3つの民族の基本は「先住民の基本」にまとめています。
「Aboriginal」から「Indigenous」へ
以前は、総称として「Aboriginal」という言葉がよく使われていました。1982年憲法(Constitution Act, 1982)第35条も「Aboriginal peoples of Canada」という言葉を使っています(1982年憲法の条文(新しいタブで開く))。
カナダ統計局(Statistics Canada)は、統計の基準の中の言葉を、英語で「Aboriginal」から「Indigenous」に改めました。統計局の定義のページ(新しいタブで開く)では、「Indigenous identity of person」という基準が2021年4月1日から使われています。
このため、法律や古い報告書では「Aboriginal」、新しい政府のページでは「Indigenous」と、同じものを指す言葉が混在しています。
「Indian」は法律上の用語
「インディアン(Indian)」は、インディアン法(Indian Act)の中で使われる法律上の用語です。先住民サービス省(Indigenous Services Canada、ISC)は、「インディアン・ステータス(Indian status)」を、インディアン法に登録された人の法的な地位だと説明しています。登録の記録は「インディアン登録簿(Indian Register)」と呼ばれ、ISC が管理しています(ISCのページ(新しいタブで開く))。
同じページで ISC は、カナダの多くの先住民が自分たちを「Indian」と呼ばれることを好まず、この言葉が植民地主義と人種差別に根ざしていると考えていることにふれています。そのうえで、インディアン法での「Indian」は、登録を受ける資格のあるファースト・ネーションズの人を指す、法律上の決まった意味の言葉だと説明しています。
このサイトでは、「インディアン」は「インディアン法」「インディアン・ステータス」のような法律や制度の名前にだけ使い、人々を指す言葉としては使いません。法律の歴史は「インディアン法」で扱います。
3つの民族の呼び方
| 呼び方 | 説明 |
|---|---|
| ファースト・ネーションズ(First Nations) | CIRNAC によると、登録している人(Status)としていない人(non-Status)の両方を含みます。カナダには630を超えるコミュニティがあります |
| イヌイット(Inuit) | 複数の人や民族全体を指します。統計局の定義では、一人の場合の「Inuk」と並べて「Inuk (Inuit)」と書かれています |
| メティス(Métis) | 先住民とヨーロッパ人の両方を祖先に持つ、独自の民族です。英語でも「é」を使って書きます |
ひとつひとつのコミュニティは「First Nation」(単数)と呼ばれ、それぞれに固有の名前があります。CIRNACのファースト・ネーションズのページ(新しいタブで開く)によると、630を超えるコミュニティは50を超えるネーション(民族)と50の言語を代表しています。
日本とのちがいと注意点だよ!
- 日本語では「先住民」とひとまとめにしがちですが、カナダではどの民族の話かを区別して呼ぶのが基本です。わかる場合は、民族名やネーションの名前で呼ぶほうが正確です。
- 連邦政府は、北極圏に暮らす民族を「イヌイット(Inuit)」と呼んでいます。このサイトでは「インディアン」「エスキモー」は人を指す言葉として使いません。
- 同じ「インディアン」でも、法律名や制度名(インディアン法、インディアン・ステータス)としては今も使われています。書類やニュースで見かけても、法律上の用語として読むとわかりやすくなります。
- 言葉の使い方は時代とともに変わってきました。迷ったときは、連邦政府や先住民の組織が今使っている呼び方に合わせると、誤解を避けられます。
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