権利と自由の憲章(Canadian Charter of Rights and Freedoms)
権利と自由の憲章は、1982年に憲法の一部として定められ、表現の自由や平等の権利などを守ります。多くの権利はカナダにいるすべての人に及びますが、選挙権など一部は市民だけの権利です。憲章が及ぶのは政府の行為で、民間の差別は人権の法律が扱います。
憲法の一部としての憲章
カナダ文化遺産省(Canadian Heritage)の憲章のガイド(新しいタブで開く)によると、権利と自由の憲章(Canadian Charter of Rights and Freedoms)は1982年4月17日に施行されました。平等の権利を定めた第15条だけは、3年後の1985年4月17日から効力を持ちました。
カナダ司法省の憲章のページ(新しいタブで開く)は、憲章が「カナダで最も上位の法」である憲法の一部だと説明しています。
憲章が守る権利
憲章が守る権利と自由は、次のように分かれています。条文は司法省の法令サイト(新しいタブで開く)で読めます。
| 分類 | 主な内容 | 条文 |
|---|---|---|
| 基本的自由(Fundamental freedoms) | 良心と信教の自由、思想・信条・意見・表現の自由(報道の自由を含む)、平和的な集会の自由、結社の自由 | 第2条 |
| 民主的権利(Democratic rights) | 選挙で投票し、立候補する権利 | 第3〜5条 |
| 移動の権利(Mobility rights) | カナダに入国し、とどまり、出国する権利。どの州にも移り住み、働く権利 | 第6条 |
| 法的権利(Legal rights) | 生命・自由・身体の安全、不合理な捜索や押収を受けない権利、恣意的に拘束されない権利、逮捕時に理由を知らされ弁護士を頼む権利など | 第7〜14条 |
| 平等の権利(Equality rights) | 人種、出身国・民族、肌の色、宗教、性別、年齢、心身の障害などによる差別を受けず、法の下で平等である権利 | 第15条 |
| 公用語の権利(Official languages) | 英語とフランス語の地位 | 第16〜22条 |
| 少数言語の教育の権利(Minority language educational rights) | 州の中で少数派の公用語で子どもを教育する権利 | 第23条 |
市民だけの権利と、すべての人の権利
文化遺産省のガイドによると、次の権利はカナダ市民だけのものです。
- 第3条:連邦と州の選挙で投票し、立候補する権利
- 第6条第1項:カナダに入国し、とどまり、出国する権利
- 第23条:少数言語での教育の権利
ほかの権利は、永住者や新しく来た人を含め、カナダにいるすべての人に及びます。
また、第6条第2項の「どの州にも移り住み、どの州でも生計を立てる権利」は、市民と永住者(permanent resident)の両方が持ちます。選挙権については「選挙権を持つ人」で扱います。
権利の制限
合理的な制限(第1条)
憲章の権利は無制限ではありません。第1条により、自由で民主的な社会で正当だと示せる合理的な範囲で、法律によって制限されることがあります。文化遺産省のガイドは、ほかの権利や国として大切な価値を守るために制限されうる、と説明しています。
適用除外条項(第33条)
第33条により、連邦議会や州議会は、法律の中で明示的に宣言すれば、憲章の一部の権利にかかわらず効力を持つ法律を作ることができます。この効力は最長5年で、更新することができます。英語では「notwithstanding clause」と呼ばれます。
憲章が及ぶ範囲
憲章が及ぶのは、連邦の議会と政府、州の議会と政府の行為です。文化遺産省のガイドによると、個人、企業、団体の行為には及びません。
民間の差別については、人権の守られ方のページ(新しいタブで開く)のとおり、別の法律があります。
- カナダ人権法(Canadian Human Rights Act):連邦政府と、連邦が規制する民間企業での雇用やサービスの差別
- 州・準州の人権の法律:雇用、住まい、一般向けの商品・サービス・施設での差別。民間の個人・企業と、州・準州の政府の両方に及ぶ
差別を受けたときの相談先は「差別を受けたとき(人権委員会)」で扱います。
権利が侵害されたとき
第24条により、憲章の権利を侵害された人は、裁判所に申し立て、裁判所が適切で正当と考える救済を受けることができます。裁判所の仕組みは「裁判所の仕組み」で扱います。
日本との違い・注意点
- 選挙権、カナダに出入りする権利、少数言語の教育の権利は市民だけの権利です。それ以外の多くの権利は、永住者、留学生、ワーキングホリデーの人などを含め、カナダにいるすべての人に及びます。
- 憲章は政府の行為に対するものです。職場や賃貸住宅などでの民間の差別は、連邦や州・準州の人権の法律で扱われます。
- 憲章の権利も、第1条の合理的な制限や第33条の適用除外条項によって制限されることがあります。
- 個別のことがらが憲章の権利の侵害にあたるかどうかは、弁護士に相談してください。
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