日本人のためのカナダ情報
政治の仕組み / 政治の仕組み

立憲君主制と国王・総督(Constitutional monarchy, the King and the Governor General)

ひとことで言うと

カナダは立憲君主制の国で、国家元首は国王(チャールズ3世)です。連邦では総督(Governor General)、各州では副総督(Lieutenant Governor)が国王の代理を務めます。実際に政府を動かすのは首相と内閣です。それぞれの役割をまとめます。

目次
  1. カナダは立憲君主制
  2. 国王(The King)
  3. 総督(Governor General)
  4. 副総督(Lieutenant Governor)とコミッショナー
  5. 日本との違い・注意点
下院 上院

カナダは立憲君主制

カナダ文化遺産省(Canadian Heritage)の王冠(The Crown)のページ(新しいタブで開く)は、「カナダは立憲君主制の国である」と説明しています。国家元首は世襲の君主(国王または女王)で、憲法に従って在位します。

1867年憲法(Constitution Act, 1867)第9条は、カナダの行政の権限が君主にあると定めています。第17条は、カナダの議会(Parliament)が君主、上院(Senate)、庶民院(House of Commons)の3つからなると定めています(1867年憲法の条文(新しいタブで開く))。

国王(The King)

いまの国王はチャールズ3世(His Majesty King Charles III)で、2022年に即位しました。カナダ文化遺産省の君主のページ(新しいタブで開く)は、エリザベス2世が1953年に、カナダの君主として初めて「カナダの女王」として別に宣言されたと説明しています。

同じページは、立憲君主である国王は国を「統治する」わけではないとしています。国王は王冠を体現する存在で、カナダの人々を結びつける役割を持つとされています。新しく市民権を得る人や、国会議員・州議会議員、軍人・警察官は、国王への忠誠を誓います。

総督(Governor General)

連邦では、総督が国王の代理を務めます。総督は首相の助言にもとづいて国王が任命し、ふつう5年務めます。1947年の勅許状(Letters Patent)により、王冠の権限の大部分を国王に代わって行使します(総督のページ(新しいタブで開く))。

総督の公式サイト(新しいタブで開く)は、憲法上の主な役割として次のものを挙げています。

  • カナダに、議会の信任を得た首相と政府が常にいるようにする
  • 議会の召集、閉会(prorogation)、解散
  • 国王演説(Speech from the Throne)を読み上げる
  • 議会を通った法案に国王の裁可(Royal Assent)を与える
  • 枢密院令(orders-in-council)などの公式文書に署名する
  • 首相、閣僚、最高裁判所長官などの就任の宣誓を行う

実際に行政を動かすのは首相です。総督には、首相に「助言し、励まし、警告する」権利があり、一定の留保権限(reserve powers)を持つことで、民主主義の安全装置の役割を果たすとされています。総督は軍の最高司令官(Commander-in-chief)でもあります。

副総督(Lieutenant Governor)とコミッショナー

10の州には、それぞれ副総督がいて、州で国王の代理を務めます。副総督は首相の推薦にもとづいて総督が任命し、ふつう5年務めます(副総督のページ(新しいタブで開く))。

役職置かれる場所主な役割
総督連邦連邦議会の法案への国王の裁可、議会の召集・解散など
副総督10の州州首相と州内閣の宣誓、州議会の会期の開会、州の法案への国王の裁可など
コミッショナー(Commissioner)3つの準州副総督と似た役割の多くを担うが、国王の正式な代理ではない

準州の仕組みは「準州の政治の仕組み」で扱います。

日本との違い・注意点

  • カナダの国家元首は国王で、カナダの憲法にもとづいて在位します。国王の権限の多くは、連邦では総督、州では副総督が代わって行使します。
  • 国王は国を「統治する」わけではなく、実際に行政を動かすのは首相と内閣です。首相と内閣の仕組みは「首相と内閣」で扱います。
  • 連邦議会の仕組みは「連邦議会(庶民院と上院)」にまとめています。
  • 市民権を取るときの宣誓(Oath of Citizenship)では、国王への忠誠を誓います。

この記事をシェアする

次に読むならこれ

関連する記事

政治の仕組み連邦議会(庶民院と上院、Parliament of Canada)カナダの連邦議会は、国王(王冠)、上院(Senate)、庶民院(House of Commons)の3つからなります。庶民院の343人は選挙で選ばれ、上院の105人は任命されます。法律ができるまでの流れと、両院の違いをまとめます。政治の仕組み首相と内閣(Prime Minister and Cabinet)カナダの首相は、庶民院の信任を得て保てる見込みが最も高い人で、ふつうは最も多くの議席を得た政党の党首です。首相は閣僚を選び、内閣が政府の政策と優先順位を決めます。内閣は庶民院の信任を保つ必要があります。仕組みをまとめます。政治の仕組み連邦と州の役割分担(Division of powers)カナダは連邦制の国で、連邦政府と州政府の権限は1867年憲法で分けられています。国防・外交・通貨・刑法などは連邦、教育・医療・市町村・財産と市民の権利などは州、農業と移民は両方の担当です。暮らしの中でどちらの担当かを見分ける手がかりをまとめます。政治の仕組み州議会と州政府(Provincial legislatures and governments)カナダの州・準州には、それぞれ選挙で選ばれる議会があり、州・準州の法律を作ります。州では州首相(Premier)が、連邦の首相と同じような役割を担い、副総督が国王の代理を務めます。議員の呼び方は州によって違います。政治の仕組み準州の政治の仕組み(Territorial governments)ユーコン、ノースウエスト準州、ヌナブト準州の3つの準州は、州とは違い、連邦議会から任された権限で政治を行います。国王の代理ではなく連邦政府を代表するコミッショナーがいることや、ノースウエスト準州とヌナブト準州で政党を使わない「コンセンサス政府」がとられていることなどをまとめます。政治の仕組み権利と自由の憲章(Canadian Charter of Rights and Freedoms)権利と自由の憲章は、1982年に憲法の一部として定められ、表現の自由や平等の権利などを守ります。多くの権利はカナダにいるすべての人に及びますが、選挙権など一部は市民だけの権利です。憲章が及ぶのは政府の行為で、民間の差別は人権の法律が扱います。