賃貸契約(Lease・Tenancy agreement)の読み方
カナダの賃貸契約には、終わりの日が決まった定期契約(Fixed-term)と、月ごとに続く契約(Month-to-month)があります。BCとオンタリオ州では、州の法律に反する条項は契約書に書かれていても無効です。署名の前に確かめたい項目と、2州のルールをまとめました。
条件や金額は変わることがあります。手続きの前に、必ず公式の窓口やページで最新の情報を確認してください。個別の判断は、登録された専門家に相談してください。
賃貸契約とは
カナダ住宅金融公社(Canada Mortgage and Housing Corporation、CMHC)によると、大家と借り主の間の賃貸の取り決めは、一般に「Lease(リース)」と呼ばれます(CMHCのページ(新しいタブで開く))。ブリティッシュコロンビア州(BC)では「Tenancy agreement」という言葉も使われます。
CMHCは、取り決めには書面の契約と口頭の契約があり、どちらも法的な義務を生むと説明しています。ただし、口頭の契約では、争いになったときにお互いの記憶が食い違うことがあります。そのためCMHCは、何に合意したかがはっきりする書面の契約を勧めています。
CMHCが挙げる、書面の契約に書かれる主な内容は次のとおりです。
- 家賃
- 責任を負う当事者(大家と借り主)
- 家賃に含まれるものと含まれないもの
- 契約を終わらせる条件
どんな住まいが州の賃貸法の対象になるかは州・準州によって違います。契約の前に、自分の州のルールを確かめておくことが大切です。
契約の2つの形
| 形 | 内容 |
|---|---|
| 定期契約(Fixed-term) | 契約が終わる日が決まっている。BCでは「Lease」とも呼ばれる |
| 月ごとの契約(Month-to-month、Periodic) | 終わる日が決まっておらず、月ごとに続く |
BCとオンタリオ州では、定期契約が終わっても、自動的に月ごとの契約として続くのが原則です。契約の終わりの日に必ず出ていかなければならないわけではありません。
州・準州ごとの違い
2026年10月時点で確認できた、BCとオンタリオ州のルールです。
| BC | オンタリオ州 | |
|---|---|---|
| 書面の契約 | 大家はすべての賃貸で書面の契約を用意する。双方が署名し日付を書く | 2018年4月30日以降に結ぶ多くの契約で、州の標準賃貸契約(Standard lease)を使う |
| 契約書の控え | 署名から21日以内に借り主に渡す | 借り主の署名から21日以内に、署名した控えを渡す |
| 定期契約が終わったとき | 原則として月ごとの契約に変わる | 自動的に月ごとの契約として続く。更新の契約は不要 |
| 法律に反する条項 | 無効。不当な条項(Unconscionable terms)も強制できない | 法律上の権利・責任を奪おうとする追加の条項は無効 |
ブリティッシュコロンビア州(BC)
BC州政府によると、大家はすべての賃貸について書面の契約を用意し、大家と借り主の両方が署名して日付を書きます。大家は署名から21日以内に、契約書の控えを借り主に渡さなければなりません(BC州政府のページ(新しいタブで開く))。書面の契約がなくても、法律で決まった標準の条項(Standard terms)は適用されます。
契約書には、当事者の名前、部屋の住所、入居日、月ごとの契約か定期契約か、といった基本の情報と、住宅賃貸法(Residential Tenancy Act)で決まった標準の条項をすべて入れます。州は、必要な条項を含んだ契約書の書式「Residential Tenancy Agreement(Form RTB-1)」を公開しています。
標準の条項は、入居・退去時の点検、家賃の値上げ、また貸し、修理、同居人、鍵、大家の立ち入り、契約の終わらせ方などを扱い、変更したり外したりできません。BC州政府は、契約書に何が書かれていても、BCのすべての借り主は法律で守られる権利を持つとしています。契約の変更は、双方が書面で合意したときだけできます。
退去条項(Vacate clause)
BCでは、定期契約は多くの場合、契約が終わったという理由だけでは終わりません。定期契約の終わりに借り主が出ていくことを求める「退去条項(Vacate clause)」を入れられるのは、また貸し(Sublet)の場合か、大家や近い家族が住む予定の場合だけです。それ以外は、自動的に月ごとの契約に変わります。
オンタリオ州
オンタリオ州では、2018年4月30日以降に結ぶ多くの住宅の賃貸契約で、州の標準賃貸契約(Standard lease)を使う必要があります(オンタリオ州政府の手引き(新しいタブで開く))。介護施設、移動住宅用地、多くの社会住宅・支援付き住宅、協同組合住宅などは対象外です。
大家は、借り主が署名してから21日以内に、署名した控えを渡します。標準賃貸契約を受け取る権利があるのに受け取っていない場合、借り主は大家に書面で求めることができ、大家は21日以内に渡さなければなりません。渡されなければ、借り主は家賃1か月分の支払いを保留できます。保留してから30日たっても標準賃貸契約を受け取れなければ、その1か月分を払わなくてよくなります(オンタリオ州政府のページ(新しいタブで開く))。ただし、保留できるのは1か月分までで、それ以外の家賃は払い続けます。
無効になる追加の条項
標準賃貸契約には追加の条項を書き足せますが、法律上の権利や責任を奪おうとする条項は無効です。州の手引きは、次のような例を挙げています。
- ペットを禁止する条項(ただし、コンドの規則でペットが制限されている場合、大家は借り主にその規則を守るよう求められます)
- 客、同居人、追加の居住者を禁止する条項
- 法律で認められていない預かり金、手数料、違約金を求める条項
- 大家が責任を負う修理の費用を、借り主に払わせる条項
家賃には、基本の家賃に加えて、駐車場や物置、エアコンなどのサービスの料金が別に決められていれば、それも含まれます。標準賃貸契約の詳しい読み方は「オンタリオ州の標準賃貸契約」で扱います。
ケベック州とその他の州
ケベック州では、住宅行政審判所(Tribunal administratif du logement、TAL)の契約書の書式を使うことが義務になっています。ほかの州・準州の法律と窓口は「州ごとの賃貸法と相談先」にまとめています。
手順
- 契約の前に、定期契約か月ごとの契約か、契約期間を確かめる。
- 家賃、支払日、払い方、家賃に含まれるもの(電気・暖房・水道、ネット、駐車場、洗濯機など)を確かめる。
- 敷金の額が州の上限を超えていないか確かめる(「敷金とペット敷金」)。
- ペット、喫煙、同居人、また貸しについての条項を読む。コンドなら建物の規則も確かめる。
- わからない英語の条項は、署名する前に大家に聞くか、州の窓口に問い合わせる。
- 署名したら、控えを受け取る(BCもオンタリオ州も21日以内)。
- 入居時に部屋の点検をして記録を残す(「入居時と退去時の点検」)。
ここに注意してね!
- カナダでは、契約書に書かれていても、州の法律に反する条項は無効になります。BCとオンタリオ州の公式ページは、このことをはっきり説明しています。署名したからといって、すべての条項に従わなければならないわけではありません。
- BCとオンタリオ州では、定期契約が終わっても月ごとの契約として続くのが原則です。契約の終わりの日に出ていくつもりなら、州のルールに沿った退去の通知が必要になります(「退去の手続きと敷金の返還」)。
- 契約書は英語やフランス語で書かれています。内容を理解しないまま署名しないことが大切です。
- 条項が有効かどうかなど、個別の判断が必要なときは、州の窓口(BCは住宅賃貸局〔RTB〕、オンタリオ州は大家・借家人委員会〔LTB〕)や弁護士に相談してください。
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