州ごとの賃貸法と相談先(Residential tenancy laws)
カナダの住宅賃貸のルールは州・準州ごとの法律で決まり、トラブルは裁判所より先に州の専門機関(BCのRTB、オンタリオ州のLTB、アルバータ州のRTDRS、ケベック州のTALなど)が扱います。部屋を借りる人が、自分の州の法律と相談先を知るための記事です。
条件や金額は変わることがあります。手続きの前に、必ず公式の窓口やページで最新の情報を確認してください。個別の判断は、登録された専門家に相談してください。
賃貸のルールは州・準州の法律で決まる
カナダで部屋を借りるときのルール(敷金、家賃の値上げ、修理、退去の通知など)は、州・準州がそれぞれの法律で決めています。同じカナダでも、BCとオンタリオ州では敷金の扱いも相談先も違います。
多くの州には、大家と借り主の争いを扱う専門の機関があります。下の表の州の機関は、ルールの案内と紛争の解決の両方を担っています。
ただし、どの州でも、すべての住まいがこれらの法律の対象になるわけではありません。たとえばオンタリオ州の住宅賃貸法は、大学・カレッジの寮や商業用の物件には適用されません(オンタリオ州政府のページ(新しいタブで開く))。ルームシェアや寮では、自分の住まいが対象かどうかを州の窓口に確かめると安心です。
州・準州ごとの違い
2026年10月時点で、公式ページで確認できた州の法律と窓口です。
| 州 | 主な法律 | 窓口 | 電話 |
|---|---|---|---|
| ブリティッシュコロンビア州(BC) | Residential Tenancy Act | 住宅賃貸局(Residential Tenancy Branch、RTB) | 1-800-665-8779 |
| オンタリオ州 | Residential Tenancies Act, 2006 | 大家・借家人委員会(Landlord and Tenant Board、LTB) | 1-888-332-3234(トロント周辺 416-645-8080) |
| アルバータ州 | Residential Tenancies Act | 住宅賃貸紛争解決サービス(Residential Tenancy Dispute Resolution Service、RTDRS) | 公式ページの問い合わせ先、または Alberta Connects |
| ケベック州 | ケベック州民法典(Code civil du Québec)など | 住宅行政審判所(Tribunal administratif du logement、TAL) | 514 873-2245(モントリオール・ラバル・ロンゲール)、1 800 683-2245(そのほか) |
| マニトバ州 | The Residential Tenancies Act | 住宅賃貸局(Residential Tenancies Branch) | 1-866-MANITOBA |
| サスカチュワン州 | The Residential Tenancies Act, 2006 | 住宅賃貸事務所(Office of Residential Tenancies) | 公式ページの問い合わせ先 |
| ニューファンドランド・ラブラドール州 | Residential Tenancies Act, 2018 | 住宅賃貸部門(Residential Tenancies Division) | 1-709-729-4834 |
ノバスコシア州、ニューブランズウィック州、プリンスエドワードアイランド州、ユーコン準州、ノースウエスト準州、ヌナブト準州にも、それぞれ賃貸の法律と窓口があります。この記事では、公式ページで確かめられた州だけを表にしています。
ブリティッシュコロンビア州(BC)
BCの住宅賃貸局(RTB)は、住宅賃貸法(Residential Tenancy Act)と、移動住宅用地の賃貸法(Manufactured Home Park Tenancy Act)を担当しています(BC州政府のページ(新しいタブで開く))。
- 入居から退去までの情報提供と、大家と借り主の紛争解決(Dispute resolution)を行います。
- 電話は1-800-665-8779で、200以上の言語で対応しています(2026年10月時点)。
BCの敷金のルールは「敷金とペット敷金」、RTBの詳しい使い方は「BC州の賃貸(Residential Tenancy Branch)」で扱います。
オンタリオ州
オンタリオ州では、住宅賃貸法(Residential Tenancies Act, 2006)が多くの民間の賃貸住宅に適用されます。紛争は大家・借家人委員会(LTB)が扱います(LTBのページ(新しいタブで開く))。
- 申し立ては「Tribunals Ontario Portal」でオンラインで行い、進み具合の確認や証拠の提出もできます。
- 電話は平日8時30分〜17時。自動案内は24時間使えます(2026年10月時点)。
多くの民間の賃貸住宅では、大家は新しい契約に州の標準賃貸契約(Standard lease)の書式を使わなければなりません。借り主が求めてから21日以内に標準の契約書が渡されないときは、借り主は家賃1か月分の支払いを保留できます(オンタリオ州政府のページ(新しいタブで開く))。詳しくは「オンタリオ州の標準賃貸契約」で扱います。
アルバータ州
アルバータ州の住宅賃貸紛争解決サービス(RTDRS)は、裁判所を使わずに大家と借り主の争いを解決する準司法的な審判機関です。住宅賃貸法(Residential Tenancies Act)と、移動住宅用地の賃貸法(Mobile Home Sites Tenancies Act)の争いを扱います(アルバータ州政府のページ(新しいタブで開く))。
申し立てはオンライン(RTDRS eFiling Service)で行います。RTDRSを使わずに裁判所に訴える方法もあります。
ケベック州
ケベック州では、賃貸のルールはケベック州民法典などで決まっていて、住宅行政審判所(TAL)が紛争を扱います。家賃の調整、退去、修理、契約の解約や譲渡など、幅広い争いが対象です(TALのページ(新しいタブで開く))。
- TALの契約書の書式は、1996年9月1日から使うことが義務になっています。口頭で契約したときも、大家は決められた書面(Mandatory writing)を借り主に渡します。
- TALの窓口は、原則として事前の予約が必要です。
- TALによると、2026年1月1日から関係する規則が変わり、英語のページの更新が遅れていました(2026年10月時点)。手続きの細部はフランス語のページもあわせて確認すると確実です。
電話の受付は平日8時30分〜12時と13時〜16時30分(祝日を除く。2026年10月時点)です。
手順
- 住んでいる州・準州の法律と窓口を確かめる(上の表)。
- 困ったことは、まず大家に書面(メールなど)で伝え、やりとりを保存する。
- 解決しなければ、州の窓口に電話して、自分のケースに当てはまるルールを聞く。
- それでも解決しなければ、州の専門機関に申し立てる。書類や写真、領収書をそろえておく。
- 法的な判断が必要なときは、弁護士に相談する。
費用
申し立てには手数料がかかる州があります。アルバータ州のRTDRSは、2026年4月1日から次の手数料です(2026年10月時点)。
- 請求額C$7,500以下:C$75
- 請求額C$7,500超:C$150
- 手続き中の申し立てがある場合のC$7,500超の反対請求:C$100
条件を満たせば手数料の免除を受けられます。ほかの州の手数料は、それぞれの窓口で案内されています。
日本とのちがいと注意点だよ!
- 日本では賃貸借の基本的なルールは民法で全国共通に決まっていて、2020年4月施行の改正で、修繕や敷金、原状回復のルールが明確になりました(法務省のパンフレット(新しいタブで開く))。カナダでは州・準州ごとに法律が違うので、引っ越して州が変わると、敷金や通知の期限なども変わります。
- カナダの多くの州では、裁判所ではなく州の専門機関が大家と借り主の争いを扱います。申し立てには期限があることも多いので、困ったときは早めに窓口に相談すると安心です。
- 州の窓口は一般的なルールを説明しますが、個別の争いでどちらが正しいかは判断しません。判断が必要なときは、弁護士などの専門家に相談してください。
- 州の賃貸法の対象外になる住まいもあります。たとえばBCの住宅賃貸法は、持ち主と浴室か台所を共用する住まいや、学校が学生・職員に貸す寮には適用されません(BCの住宅賃貸法 第4条(新しいタブで開く))。ルームシェアや間借りは、契約の前に対象かどうかを確かめておくと安心です。
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