入居時と退去時の点検(Condition inspection)
入居と退去のときに、大家と借り主が一緒に部屋を見て状態を記録するのが点検(Condition inspection)です。BCとアルバータ州では点検と報告書が法律で決まっていて、決まりを守らないと敷金の扱いに影響します。点検の流れと、記録の残し方をまとめました。
条件や金額は変わることがあります。手続きの前に、必ず公式の窓口やページで最新の情報を確認してください。個別の判断は、登録された専門家に相談してください。
点検(Condition inspection)とは
入居するときと退去するときに、大家と借り主が一緒に部屋を見て回り、傷や汚れ、設備の状態を記録することを点検(Condition inspection)といいます。BCでは「Walk through」とも呼ばれます(BC州政府のページ(新しいタブで開く))。
入居時の記録があれば、退去のときに「その傷は入居前からあった」と示せます。敷金を差し引くかどうかの話し合いで、いちばん大切な証拠になります。
州・準州ごとの違い
点検のルールは州によって違います。2026年10月時点で確認できた2州のルールです。
| BC | アルバータ州 | |
|---|---|---|
| 点検と報告書 | 入居時・退去時に大家と借り主が一緒に点検し、報告書を作る | 入居時と退去時の点検報告書の作成が義務 |
| 日程の機会 | 大家は借り主に2回の機会を示す | 借り主がいないまま点検するには、休日以外の別々の日の8時〜20時に2回の機会を示す必要がある |
| 報告書の控え | 入居時は点検から7日以内。退去時は、点検日と新住所を書面で受け取った日の遅いほうから15日以内 | — |
| 決まりを守らない大家 | 損傷を理由に敷金を差し引く権利を失う | 損傷や清掃の費用を敷金から差し引けない |
ほかの州・準州のルールは、州の窓口で確かめられます(「州ごとの賃貸法と相談先」)。
ブリティッシュコロンビア州(BC)
入居時の点検
BC州政府によると、点検は借り主が鍵を受け取る日に行うのが原則ですが、双方が合意すれば別の日にもできます。
- 大家は、借り主に2回、点検の日程を決める機会を示します。1回目に借り主が来なかった場合、大家は「Notice of Final Opportunity to Schedule a Condition Inspection(Form RTB-22)」で2回目の機会を知らせます。
- 借り主は、1回目に示された時間の都合がつかなければ、別の時間を提案できます。大家はそれを考慮したうえで、2回目の機会を示します(住宅賃貸規則〔Residential Tenancy Regulation〕第17条)。
- 報告書は、住宅賃貸局(Residential Tenancy Branch、RTB)の書式「Condition Inspection Report(Form RTB-27)」を使えますが、大家が独自の書式を使うこともできます。
- 借り主には、大家の記録の内容に同意できない点を書き込む機会が与えられます。
- 大家は、点検から7日以内に報告書の控えを借り主に渡します。
BC州政府は、点検のときに双方が写真や動画をたくさん撮っておくことを勧めています。ペットを飼い始める前にも、点検をしておくよう案内しています。
退去時の点検
退去のときも、大家と借り主は一緒に部屋を点検し、報告書を作ります(住宅賃貸法〔Residential Tenancy Act〕第35条)。大家は、点検が終わった日と、借り主の新しい住所(Forwarding address)を書面で受け取った日の遅いほうから15日以内に、署名した報告書の控えを借り主に渡します(住宅賃貸規則 第18条(新しいタブで開く))。
点検に参加しないとどうなるか
住宅賃貸法第36条などにより、点検の決まりを守らないと、次のような影響があります。
- 借り主:2回の機会を示されたのにどちらにも参加しないと、敷金・ペット敷金を取り戻す権利を失うことがあります。
- 大家:2回の機会を示さない、点検に参加しない、報告書を作らない、7日以内に控えを渡さない、といった場合、損傷を理由に敷金を差し引く権利を失います。
敷金の返し方は「敷金とペット敷金」で扱っています。
アルバータ州
アルバータ州政府によると、入居時と退去時の点検報告書の作成は、大家と借り主の両方に義務付けられています(アルバータ州政府のページ(新しいタブで開く))。
- 大家が借り主のいないまま点検できるのは、休日ではない別々の日に、8時から20時の間で2回の機会を示した場合だけです。
- 借り主は、点検報告書を使って、入居前からあった損傷に責任がないことを示せます。
- 点検報告書の決まりが守られていない場合、大家は退去時に損傷や清掃の費用を敷金から差し引けません。
手順
- 入居日(鍵を受け取る日)に点検の時間を大家と決める。
- 部屋のすべての場所(壁、床、窓、扉、台所の設備、浴室、照明、暖房など)を一緒に見て回る。
- 傷や汚れ、動かない設備があれば、報告書に具体的に書いてもらう。同意できない記録があれば、そのことを書き込む。
- 日付がわかる写真と動画をたくさん撮って保存する。
- 報告書の控えを受け取り、退去まで保管する。
- 退去時にも一緒に点検し、新しい住所を書面で大家に伝える。
日本とのちがいと注意点だよ!
- 日本でも、国土交通省は原状回復のトラブルを防ぐために、入居時と退去時に物件の状況をよく確認しておくことが有効としています(国土交通省のページ(新しいタブで開く))。カナダのBCやアルバータ州では、点検と報告書が法律で義務付けられていて、守らないと敷金の扱いに直接影響する点が違います。
- BCでは、借り主が点検に参加しないと敷金を取り戻す権利を失うことがあります。忙しくても、2回の機会のどちらかには参加することが大切です。
- 点検の報告書は英語で書かれます。書かれた内容が実際の部屋の状態と違う場合は、署名する前に指摘し、同意できない点を書き込みます。
- 敷金の差し引きをめぐる争いは、州の窓口(BCは住宅賃貸局〔RTB〕、アルバータ州は住宅賃貸紛争解決サービス〔RTDRS〕)に相談できます。個別の判断は弁護士に相談してください。
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