日本の所得税と非居住者(居住者・非居住者の区分)
日本の所得税では、国内に住所があるか、1年以上続けて居所がある人を「居住者」、それ以外の人を「非居住者」とします。カナダに移って非居住者になると、日本で課税されるのは日本国内で生まれた所得(国内源泉所得)に限られます。区分の判断や申告は税務署や税理士に確かめます。
条件や金額は変わることがあります。手続きの前に、必ず公式の窓口やページで最新の情報を確認してください。個別の判断は、登録された専門家に相談してください。
居住者と非居住者の違い
日本の所得税では、人を「居住者」と「非居住者」に分けて、課税する範囲を決めています。国税庁のタックスアンサー No.2875(新しいタブで開く)によると、定義は次のとおりです。
| 区分 | 定義 |
|---|---|
| 居住者 | 日本国内に「住所」がある人、または、今まで続けて1年以上日本国内に「居所」がある人 |
| 非居住者 | 居住者以外の人 |
- 住所:その人の生活の本拠(生活の中心)。客観的な事実で判定します。
- 居所:生活の本拠ではないが、実際に住んでいる場所。
この定義には国籍の条件はありません。
1年以上の予定で海外に住むとき
国税庁の住所の推定のページ(新しいタブで開く)によると、国外に住むことになった人が次のどちらかに当たると、日本国内に住所がない人(非居住者)と推定されます。
- 国外で、続けて1年以上住むことがふつう必要な職業についている。
- 外国の国籍を持っているか、外国の法令でその国に永住する許可を受けている。そのうえで、日本で生計を同じくする配偶者などの親族がいないなど、日本での職業や資産の状況から、再び日本に帰って主に日本に住むと推測できる事実がない。
この推定で非居住者とされる人と生計を同じくする配偶者や扶養親族が国外に住む場合は、その家族も非居住者と推定されます。
タックスアンサー No.2517(新しいタブで開く)は、会社の役員や従業員が海外の支店などに1年以上の予定で転勤した場合は、一般に非居住者になるとしています。
予定が変わったとき
国税庁の質疑応答事例(新しいタブで開く)では、事情が変わったときは区分を判定し直しますが、さかのぼって区分は変わらないとしています。
- 1年以上の予定で出国した人が、1年未満で戻ることが明らかになった場合:明らかになった日から居住者。
- 1年未満の予定で出国した人が、1年以上になることが明らかになった場合:明らかになった日から非居住者。
非居住者に課税される所得
タックスアンサー No.2873(新しいタブで開く)によると、非居住者に対する日本の課税は、日本国内で生まれた所得(国内源泉所得)に限られます。課税の方法は、所得の種類や、日本に支店などの恒久的施設があるかどうかで違います。恒久的施設がない場合などは、源泉徴収だけで課税が終わる方式(源泉分離課税)が基本です。
カナダに住む人に関係しそうな例は次のとおりです。
| 所得の例 | 国税庁のページでの扱い |
|---|---|
| 日本の会社からの海外勤務の給与(従業員) | 国内源泉所得に当たらず、源泉徴収は不要(No.2517) |
| 日本での勤務期間を含む賞与 | 日本での勤務期間に対応する分に20.42%の源泉徴収(No.2517) |
| 日本の会社の役員の報酬 | 国内源泉所得に当たり、20.42%の源泉徴収。海外支店長など従業員の立場で常に海外で勤務する場合を除く(No.2517) |
| 日本の不動産の家賃 | 原則として20.42%の源泉徴収。総合課税で確定申告が必要(No.1926) |
| 日本の公的年金 | 一定額を差し引いたあとに20.42%の源泉徴収(「カナダで日本の年金を受け取る」) |
税率は2026年10月時点のものです。国税庁は、2027年分以後は源泉徴収する税の内訳が変わるとしています。
出国の年の確定申告と納税管理人
タックスアンサー No.1926(新しいタブで開く)によると、確定申告が必要な人が年の途中で海外に移るときは、納税管理人を決めるかどうかで申告の期限が変わります。このページは、海外に転勤する会社員を例に説明しています。
| 場合 | 申告の範囲と期限 |
|---|---|
| 出国の時までに納税管理人を決めた | その年1月1日から出国の日までのすべての所得と、出国の翌日から12月31日までの国内源泉所得を合わせて、翌年2月16日から3月15日までに納税管理人を通じて申告・納税する |
| 納税管理人を決めずに出国する | 1月1日から出国の日までのすべての所得について、出国の時までに確定申告(準確定申告)をする |
| 年を通じて海外にいる(出国の翌年以後) | 国内源泉所得があり、その額が所得控除の合計を超えるときは、原則として翌年2月16日から3月15日までに納税管理人を通じて申告する |
納税管理人を決めずに出国して準確定申告をした場合も、出国後に国内源泉所得があれば、翌年2月16日から3月15日までに、納税管理人を通じて改めて申告と納税をする必要があります。
納税管理人の届出
国税庁の手続の案内(A1-7)(新しいタブで開く)によると、届出は次のとおりです(2026年10月時点)。
- 様式:「所得税・消費税の納税管理人の選任・解任届出書」
- 期限:納税管理人を決めたとき、または出国の日まで。解任したときは、解任したときに出す。
- 提出先:納税地を受け持つ税務署長
- 出し方:e-Tax で出すか、書面を持参・郵送する。
納税管理人は、法人でも個人でもかまいません。
手順
日本からカナダへ移るときの流れの例です。
- 出国の予定期間と、カナダでの仕事や住まいの状況を整理する。
- 会社員は、出国の日までに会社で年末調整を受ける(No.2517)。
- 日本に不動産収入などが残る場合は、納税管理人(非居住者の代わりに確定申告や納税をする人)を決め、出国の日までに届出書を出す。決めないときは、出国の時までに準確定申告をする。
- 日本に残る所得と、カナダでの申告の両方について、税務署や両国の税に詳しい税理士に相談する。
- 日本に戻るときは、帰国の年の確定申告が必要かどうかを確かめる。
日本とのちがいと注意点だよ!
- 日本とカナダでは、居住者の考え方が違います。カナダ側の考え方は「税務上の居住者の判断」で扱います。両方の国の居住者に当たるときは、「日加租税条約」の決まりで、どちらの国の居住者とするかを決めます。
- タックスアンサー No.1935(新しいタブで開く)によると、非居住者だった人が帰国して居住者になると、国内源泉所得に限らずすべての所得が課税の対象になります。帰国の年は、帰国前の国内源泉所得と帰国後のすべての所得を合わせて計算します。
- 所得税と住民税は別の税です。住民税は「日本の住民税と出国のタイミング」で扱います。
- 居住者・非居住者の判定は、個人の事情で変わります。判断は税務署や税理士に確かめます。
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