日加社会保障協定(Agreement on Social Security between Canada and Japan)
日本とカナダの社会保障協定は2008年3月1日に発効しました。日本の会社からカナダに5年以内の予定で派遣される人は日本の年金制度だけに入る、という形で保険料の二重払いを防ぎます。また、年金を受け取るのに必要な期間が足りないときは、両国の加入期間を合わせて数えます。ケベック州の年金制度(QPP)は対象外です。
条件や金額は変わることがあります。手続きの前に、必ず公式の窓口やページで最新の情報を確認してください。個別の判断は、登録された専門家に相談してください。
協定でできること
日本とカナダの社会保障協定(Agreement on Social Security between Canada and Japan)は、2008年3月1日に発効しました(Service Canada のページ(新しいタブで開く))。
厚生労働省のページ(新しいタブで開く)によると、社会保障協定には大きく2つの役割があります。
- 二重加入を防ぐ:相手の国で働く人が、両方の国の年金制度に保険料を払わずに済むよう、どちらの国の制度に入るかを決める。
- 加入期間を合わせて数える(期間通算):片方の国の加入期間だけでは年金を受け取る条件を満たせないとき、両国の期間を合わせて数え、それぞれの国から、その国での加入期間に応じた年金を受け取れるようにする。
対象になる制度
日本年金機構のカナダについての注意事項(新しいタブで開く)と、協定の一覧のページによると、対象は次のとおりです。
| 国 | 対象の制度 | 二重加入の調整 |
|---|---|---|
| 日本 | 公的年金制度(国民年金・厚生年金など) | 対象 |
| カナダ | カナダ年金制度(Canada Pension Plan、CPP) | 対象 |
| カナダ | 老齢保障年金(Old Age Security、OAS) | 対象外(保険料ではなく税が財源のため)。期間通算では対象 |
| カナダ | ケベック年金制度(Québec Pension Plan、QPP。Régime de rentes du Québec) | 協定の対象外 |
日本年金機構の一覧では、二重加入の調整の対象は、両国とも公的年金制度だけです。ケベック州で働いてQPPに入った期間は、日本の年金との調整や期間通算の対象になりません(「ケベック年金(QPP)」)。
日本の会社からカナダに派遣される人
厚生労働省のページによると、社会保障協定の基本の考え方は次のとおりです。
- 派遣の期間が5年以内の見込み:派遣元の国の制度だけに入る(日本の会社からの派遣なら日本の年金制度だけ)。
- 派遣の期間が5年を超える見込み:働いている国の制度だけに入る(カナダならCPP)。
日本年金機構によると、カナダとの協定には次の決まりもあります。
- 6か月ルール:日本の会社からカナダに派遣されてCPPの免除を受けるには、派遣される直前に、原則として6か月以上続けて日本で働くか住んでいて、日本の年金制度に入っていることが条件です。
- 派遣期間の延長:予測できなかった事情などで5年を超えて延長されるときは、個別の審査で、3年を超えない期間について、引き続きカナダの制度が免除されることがあります。認められなければ、カナダの制度だけに入ります。
カナダの会社に現地で直接雇われて働く人は、派遣ではないため、ケベック州以外ではCPPに入ります(「カナダ年金(CPP)」)。
加入期間を合わせて数えるしくみ
日本の年金を受け取るとき
日本の年金加入期間だけでは日本の年金を受け取る条件を満たさないときは、CPPの加入期間を加えられます。CPPの暦年ごとの1年の加入期間を、日本の12か月として数えます。OASのカナダ居住期間は加えられません。日本の期間と重なる期間は数えません。
カナダの年金を受け取るとき
OASのカナダ居住期間かCPPの加入期間が少なくとも1年ある人で、カナダの期間だけでは給付を受けられない場合に、日本の加入期間を加えられます。
- CPP:日本の加入期間が少なくとも3か月ある暦年を、CPPの1年として数えます。日本年金機構によると、CPPの退職年金(老齢年金)には最低の加入期間の要件がないため、通算しなくても受け取れます。遺族年金や障害年金は、通算によって受け取れるようになる場合があります。
- OAS:Service Canada によると、カナダに住んだ年数が足りないときは、18歳以降で1952年1月1日以降の日本の年金加入期間を、カナダの居住期間とみなします(「老齢年金(OAS・GIS)」)。
日本の法令が適用されたままカナダで働く人(日本からの派遣者)のカナダでの就労期間は、OASの居住期間に数えません。同居する配偶者なども、自分の仕事でCPPやQPPに入る場合を除き、同じ扱いです。
手順
日本の会社からカナダに派遣される場合の流れの例です。
- 派遣の期間の見込みを会社と確かめる。
- 5年以内の見込みなら、日本の年金制度に入り続けたままCPPの免除を受けるため、「適用証明書交付申請書」を出す(下の表)。原則として派遣の前に申請します。
- 6か月ルールなど、カナダとの協定に特有の条件を満たしているかを確かめる。
- 期間が延びそうなときは、早めに年金事務所に相談する。
適用証明書の申請書
日本年金機構の申請書一覧(加入免除手続き)(新しいタブで開く)と提出先のQ&A(新しいタブで開く)によると、申請書と提出先は次のとおりです。申請書は、働き始める予定日(延長なら延長の開始日)のおおむね6か月前から出せます。
| 入っている制度 | 申請書 | 提出先 |
|---|---|---|
| 厚生年金保険 | 日・カナダ社会保障協定 厚生年金保険 適用証明書交付申請書 | 日本年金機構 社会保障協定担当(東京都調布市。郵送のみ) |
| 国民年金 | 日・カナダ社会保障協定 国民年金 適用証明書交付申請書 | 最寄りの年金事務所 |
派遣が当初の予定より延びるときは「適用証明期間継続・延長申請書」を延長の前に、証明書をなくしたときなどは「適用証明書再交付申請書」を出します。交付される証明書は「カナダで就労する被用者/自営業者のための日本国公的年金各法の適用に関する証明書」です。
年金を請求するときの申請書
日本年金機構の申請書一覧(年金請求手続き)(新しいタブで開く)とService Canada のページ(新しいタブで開く)に載っている主な申請書です。
| 場面 | 申請書 |
|---|---|
| カナダに住む人が日本の老齢・障害年金を請求する | 国民年金・厚生年金保険 裁定請求書(CAN/J1)。受給権が生まれた後に申請 |
| カナダに住む人が日本の遺族年金を請求する | 裁定請求書(CAN/J2) |
| カナダに住む人が日本の期間を通算してカナダの年金を請求する | 保険期間確認請求書(CAN/J4)をカナダの年金の申請書に添付 |
| 日本に住む人がカナダの老齢・退職・遺族年金を請求する | Service Canada の様式番号は ISP 5054-JPN。日本年金機構の一覧では旧様式「J/CAN1」も当面使える |
| 日本に住む人がカナダの障害年金を請求する | ISP5053-JPN(日本年金機構の一覧では J/CAN1.1) |
Service Canada によると、日本に住む人は、申請書を日本の年金事務所に出すか、Service Canada の国際業務の部署(International Operations, Service Canada)に郵送します。
カナダの年金を請求するときは、カナダに住む人は Service Canada に、日本に住む人は日本の年金事務所などを通じて申請します。CPPの退職年金の申請を受け付け始める時期は、経路によって違います。カナダで Service Canada に申請するなら、Service Canada の申請のページ(新しいタブで開く)によると、受け取りを始めたい月の12か月前からです。日本から協定を使って日本年金機構を通して申請するなら、日本年金機構のカナダの注意事項(新しいタブで開く)によると、受給権が生じる6か月前からです。日本年金機構によると、日本に住む人は、日本の住所に郵送される小切手、カナダの銀行口座への振り込み、日本の金融機関口座への振り込み(別に「海外振込申請書」が必要)のどれかでカナダの年金を受け取ります。反対に、カナダで日本の年金を受け取る話は「カナダで日本の年金を受け取る」で扱います。
日本とのちがいと注意点だよ!
- 協定は年金だけが対象です。日本の健康保険とカナダの州の医療保険の関係は、協定では調整されません。
- ケベック州で働いた期間(QPP)は、協定の対象外です。
- 日本年金機構によると、日本とカナダの租税条約には年金についての条項がないため、年金は支払う国の税法で課税されます。税金の扱いは税務署やCRA、税理士に相談します。
- カナダの年金には請求の時効があります。日本年金機構によると、各月の支給額の時効は、OASの老齢年金が11か月、CPPの退職年金が12か月です。
- 協定の使い方や、どの国の制度に入るかの判断は、日本の年金事務所や Service Canada、会社の担当部署に確かめます。
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