ケベックのフランス語(québécisme)
ケベックで生まれたり、ケベックで特有の意味で使われたりする言葉を「québécisme(ケベック語法)」と呼びます。古いフランス語や先住民の言葉に由来するものもあります。ケベック州フランス語局(OQLF)の資料から、その特徴と言葉の例を紹介します。
「québécisme」とは
ケベック州のフランス語には、フランスのフランス語と違う言葉や使い方があります。
ケベック州フランス語局(Office québécois de la langue française、OQLF)の専門用語辞典「Grand dictionnaire terminologique(GDT)」は、こうした言葉を「québécisme(ケベック語法)(新しいタブで開く)」と呼んでいます。定義は「ケベックの使い方に特徴的な語・語句・表現、またはケベック特有の意味で使われるもの」です。
GDT は québécisme を3つに分けています。
| 種類 | 説明 | 例 |
|---|---|---|
| 形の québécisme | 言葉そのものがケベック特有 | achaler |
| 意味の québécisme | 言葉はフランスと同じだが、意味がケベック特有 | abreuvoir を「水飲み器(fontaine)」の意味で使う |
| 頻度の québécisme | ほかのフランス語圏より、ケベックでよく使われる | présentement(現在) |
言葉の生まれはいろいろ
GDT によると、québécisme の由来も一つではありません。
- 昔のフランス語:フランスではもう使われなくなった言葉が、ケベックに残っているもの。例は dispendieux、débarbouillette
- 英語からの借用:bungalow、dézipper など
- 先住民の言葉:atoca、ouaouaron など
- ケベックで新しく作られた言葉:mot-clic、hameçonnage など
いくつか意味を見てみます。
| 言葉 | 意味 | GDT の説明 |
|---|---|---|
| débarbouillette | 顔や体をふく四角いタオル地の布(英語の facecloth、washcloth) | GDT のページ(新しいタブで開く) |
| atoca | クランベリー(canneberge)。複数形でよく使う | イロコイ系の言葉が由来(GDT のページ(新しいタブで開く)) |
| mot-clic | SNS のハッシュタグ | 英語の hashtag はフランス語になじみにくいとして、mot-clic をすすめている(GDT のページ(新しいタブで開く)) |
ハッシュタグを「mot-clic(クリックできる言葉)」と言いかえるのは、英語をそのまま使わずにフランス語の言葉を作った例です。
暮らしの中の言葉
OQLF の言語相談データベース「Banque de dépannage linguistique(BDL)」には、ケベックとほかのフランス語圏の使い方の違いを説明する記事があります。暮らしで出会いそうなものを紹介します。
banc de neige(雪の山)
冬に道路わきにできる雪の山は banc de neige です。BDL の説明(新しいタブで開く)では、自然に積もったり除雪で集められたりしてできた、固まった雪の山のことです。
英語の snowbank から来た言葉だと思われたこともありましたが、BDL によると、banc de neige は1722年の本にすでに出てきます。英語の snowbank が確認できるのは1779年からです。今では広く受け入れられ、多くの辞書にも載っているとしています。
bonjour(さようなら)
日本語の「こんにちは」にあたる bonjour を、ケベックでは別れるときにも使うことがあります。BDL の説明(新しいタブで開く)によると、ケベックでは日中、人と別れるときに bonjour をよく使います。
BDL は、この使い方は間違いではないものの、まったく中立というわけでもなく、日常の会話やくだけた場面と結びついているとしています。お店を出るときに「Bonjour!」と言われても、驚かなくて大丈夫です。
secondaire(中等教育の学年)
ケベックの中等教育(secondaire)の学年の言い方にも特徴があります。BDL(新しいタブで開く)は「secondaire 1」「secondaire 5」のような言い方はすすめず、「première année du secondaire(中等教育1年)」や、短くした「première secondaire」「1re secondaire」を使うようすすめています。子どもの学校の書類などで目にするかもしれません。
ここに注意してね!
- ケベック州の唯一の公用語はフランス語です。言葉の使い方については、州の機関である OQLF が一つひとつ説明やすすめを出しています。
- ここで紹介した言葉は、OQLF がケベックの使い方として説明しているものです。フランスなどほかのフランス語圏では、使わなかったり意味が違ったりすることがあります。
- bonjour のように、くだけた場面でだけ使う言い方もあります。役所や仕事の書類では、標準的な言い方を使うほうが無難です。
- 英語からの借用語の扱いや、週末・メールなど身近な言葉は「覚えておくと便利なフランス語」の記事で扱っています。
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