日本人のためのカナダ情報
比較・雑学 / カナダの英語・フランス語

ケベックのフランス語(québécisme)

旅行ワーホリ留学在住駐在 ケベック州
ひとことで言うと

ケベックで生まれたり、ケベックで特有の意味で使われたりする言葉を「québécisme(ケベック語法)」と呼びます。古いフランス語や先住民の言葉に由来するものもあります。ケベック州フランス語局(OQLF)の資料から、その特徴と言葉の例を紹介します。

目次
  1. 「québécisme」とは
  2. 言葉の生まれはいろいろ
  3. 暮らしの中の言葉
  4. 日本との違い・注意点
Hello Bonjour

「québécisme」とは

ケベック州のフランス語には、フランスのフランス語と違う言葉や使い方があります。

ケベック州フランス語局(Office québécois de la langue française、OQLF)の専門用語辞典「Grand dictionnaire terminologique(GDT)」は、こうした言葉を「québécisme(ケベック語法)(新しいタブで開く)」と呼んでいます。定義は「ケベックの使い方に特徴的な語・語句・表現、またはケベック特有の意味で使われるもの」です。

GDT は québécisme を3つに分けています。

種類説明例
形の québécisme言葉そのものがケベック特有achaler
意味の québécisme言葉はフランスと同じだが、意味がケベック特有abreuvoir を「水飲み器(fontaine)」の意味で使う
頻度の québécismeほかのフランス語圏より、ケベックでよく使われるprésentement(現在)

言葉の生まれはいろいろ

GDT によると、québécisme の由来も一つではありません。

  • 昔のフランス語:フランスではもう使われなくなった言葉が、ケベックに残っているもの。例は dispendieux、débarbouillette
  • 英語からの借用:bungalow、dézipper など
  • 先住民の言葉:atoca、ouaouaron など
  • ケベックで新しく作られた言葉:mot-clic、hameçonnage など

いくつか意味を見てみます。

言葉意味GDT の説明
débarbouillette顔や体をふく四角いタオル地の布(英語の facecloth、washcloth)GDT のページ(新しいタブで開く)
atocaクランベリー(canneberge)。複数形でよく使うイロコイ系の言葉が由来(GDT のページ(新しいタブで開く))
mot-clicSNS のハッシュタグ英語の hashtag はフランス語になじみにくいとして、mot-clic をすすめている(GDT のページ(新しいタブで開く))

ハッシュタグを「mot-clic(クリックできる言葉)」と言いかえるのは、英語をそのまま使わずにフランス語の言葉を作った例です。

暮らしの中の言葉

OQLF の言語相談データベース「Banque de dépannage linguistique(BDL)」には、ケベックとほかのフランス語圏の使い方の違いを説明する記事があります。暮らしで出会いそうなものを紹介します。

banc de neige(雪の山)

冬に道路わきにできる雪の山は banc de neige です。BDL の説明(新しいタブで開く)では、自然に積もったり除雪で集められたりしてできた、固まった雪の山のことです。

英語の snowbank から来た言葉だと思われたこともありましたが、BDL によると、banc de neige は1722年の本にすでに出てきます。英語の snowbank が確認できるのは1779年からです。今では広く受け入れられ、多くの辞書にも載っているとしています。

bonjour(さようなら)

日本語の「こんにちは」にあたる bonjour を、ケベックでは別れるときにも使うことがあります。BDL の説明(新しいタブで開く)によると、ケベックでは日中、人と別れるときに bonjour をよく使います。

BDL は、この使い方は間違いではないものの、まったく中立というわけでもなく、日常の会話やくだけた場面と結びついているとしています。お店を出るときに「Bonjour!」と言われても、驚かなくて大丈夫です。

secondaire(中等教育の学年)

ケベックの中等教育(secondaire)の学年の言い方にも特徴があります。BDL(新しいタブで開く)は「secondaire 1」「secondaire 5」のような言い方はすすめず、「première année du secondaire(中等教育1年)」や、短くした「première secondaire」「1re secondaire」を使うようすすめています。子どもの学校の書類などで目にするかもしれません。

ここに注意してね!

  • ケベック州の唯一の公用語はフランス語です。言葉の使い方については、州の機関である OQLF が一つひとつ説明やすすめを出しています。
  • ここで紹介した言葉は、OQLF がケベックの使い方として説明しているものです。フランスなどほかのフランス語圏では、使わなかったり意味が違ったりすることがあります。
  • bonjour のように、くだけた場面でだけ使う言い方もあります。役所や仕事の書類では、標準的な言い方を使うほうが無難です。
  • 英語からの借用語の扱いや、週末・メールなど身近な言葉は「覚えておくと便利なフランス語」の記事で扱っています。

この記事をシェアする

次に読むならこれ

関連する記事

比較・雑学覚えておくと便利なフランス語(ケベックの言葉)ケベック州の唯一の公用語はフランス語です。ケベック州のフランス語には、fin de semaine(週末)、courriel(メール)、magasinage(買い物)のように、英語からの借用語の代わりに使われる言葉があります。ケベック州のフランス語の公的機関の資料から紹介します。基礎知識公用語(英語とフランス語、Official languages)カナダの公用語は英語とフランス語の2つで、憲法と公用語法(Official Languages Act)が定めています。連邦政府の機関は、本部や需要の多い窓口で両方の言語のサービスを用意する義務があります。2021年の国勢調査では、両方を話せる人は人口の18.0%でした。基礎知識ケベック州のフランス語憲章(Charte de la langue française、Bill 101・Bill 96)ケベック州では、1977年のフランス語憲章(Bill 101)がフランス語を州の唯一の公用語と定めています。2022年の改正(Bill 96)で、州の役所のサービスは2023年6月1日から原則フランス語のみになり、店の看板や職場、学校の言語にもルールがあります。暮らしに関わる点をまとめます。比較・雑学カナダ英語の言い回し(Canadianisms)カナダだけで使われる言葉を「Canadianism」、その中でも特定の地方だけの言葉を「regionalism」と呼びます。連邦政府の翻訳局の資料から、プレーリー(アルバータ州・サスカチュワン州・マニトバ州)の言葉と、カナダのつづりの考え方を紹介します。比較・雑学「eh」の使い方(文末の「エイ?」)「eh」は文の終わりにつける短い言葉で、文法では間投詞(interjection)に分類されます。連邦政府の言葉のサイトも「He has a new car, eh?」を例に挙げています。改まった文章ではあまり使わない、話し言葉の言葉です。比較・雑学先住民の言葉が由来の地名(Canada・Ontario・Ottawa など)国名の「Canada」は、ヒューロン・イロコイの言葉で「村」を意味する「kanata」から来たと考えられています。ケベック、オンタリオ、サスカチュワン、ヌナブト、オタワ、トロントなど、州や州都の名前にも先住民の言葉が由来のものが多くあります。天然資源省のページから紹介します。