残業代と労働時間(Overtime and hours of work)
カナダの残業代のルールは州・準州で違います。ブリティッシュコロンビア州(BC)は1日8時間か週40時間を超えると1.5倍、1日12時間を超えると2倍です。アルバータ州は1日8時間か週44時間を超えた分(多い方)が1.5倍です。オンタリオ州は週44時間、ケベック州は週40時間を超えた分が1.5倍で、1日単位の残業代はありません。連邦管轄の職場は1日8時間・週40時間が基準です。
条件や金額は変わることがあります。手続きの前に、必ず公式の窓口やページで最新の情報を確認してください。個別の判断は、登録された専門家に相談してください。
残業代のルールは働く州で決まる
残業代(Overtime pay)と労働時間のルールは、雇用基準(Employment standards)の一部です。ほとんどの職場では働いている州・準州の法律が、銀行や航空などの連邦管轄の職場では連邦のカナダ労働法典(Canada Labour Code)が適用されます(「州ごとの雇用基準」)。
日本の労働基準法は、労働時間を原則1日8時間・週40時間までとしています。カナダでは、BCやアルバータ州のように1日と1週の両方で数える州もあれば、オンタリオ州やケベック州のように週単位だけで残業代を数える州もあります。働いている州のルールを知っておくことが大切です。
ブリティッシュコロンビア州(BC)の残業代
BC州政府の残業代のページ(新しいタブで開く)によると、残業代は次のとおりです。
- 1日8時間を超えて12時間までの分:通常の1.5倍(time-and-a-half)
- 1日12時間を超えた分:通常の2倍(double time)
- 週40時間を超えた分:1.5倍。ただし週の計算に入るのは、各日の最初の8時間だけです(1日単位の残業と二重に数えない)
本人が「残業代はいらない」と同意しても、雇用主は残業代を払わなければならないとされています。管理職、歩合制の営業職、一部の業種には特別なルールがあります。
残業時間をためる(Time bank)
BCでは、本人が書面で頼めば、残業代をその給料日に受け取らず、時間としてためておく(time bank)ことができます。雇用主は1か月前に書面で知らせれば、この時間の貯金を終わらせることができ、その後6か月以内に、お金で払うか休みとして取らせるか、その両方で清算します。
そのほかのBCのルール
BC州政府の労働時間のページ(新しいタブで開く)は、次のことも決めています。
- 5時間続けて働くときは、30分の無給の食事休憩
- 毎週、続けて32時間以上の休み。シフトとシフトの間は8時間以上
- 途中で抜けるシフト(split shift)は、休憩を含めて12時間以内に終える
- 出勤したら最低2時間分の給料(8時間を超える予定のシフトなら最低4時間分)。仕事がなくて帰されたときも同じです。本人が体調不良などで働けない、本人が早く帰りたいと頼んだ(記録がある)といった場合は例外です
アルバータ州の残業代
アルバータ州政府の残業のページ(新しいタブで開く)によると、残業は1日8時間か週44時間を超えた時間で、日ごとと週ごとに数えて多い方をとります(8/44ルール)。書面の残業の合意がなければ、残業代は通常の1.5倍以上です。月給の人にも同じルールが適用されます。
- 書面で残業の合意(overtime agreement)をすれば、残業代の代わりに、残業1時間につき1時間以上の有給の休みをためられます(banked overtime)。この場合だけ1.5倍の例外になります
- ためた休みは、その残業をした給与期間の終わりから6か月以内に使います(労働協約で長くできる場合あり)。使わなかった分は1.5倍で払われます
- 辞めるときに残っている休みは、1.5倍で払われます
- 管理職・監督職、一部の専門職(弁護士、エンジニア、会計士など)、歩合制の営業職などは対象外です。救急隊員やトラック輸送など、基準の時間が違う業種もあります
オンタリオ州の残業代
オンタリオ州のESAのガイド(残業代)(新しいタブで開く)によると、ほとんどの人は、フルタイム・パートタイム・学生・派遣・臨時にかかわらず、1週間に44時間を超えた分から残業代が付きます。率は通常の1.5倍です。
契約や労働協約に別の定めがなければ、1日に何時間働いても、1日単位の残業代は付きません。数えるのは週単位か、書面の合意で決めた2〜4週間の平均(averaging agreement)です。
残業をお金ではなく休みでもらうことに合意したときは、残業1時間につき1.5時間の有給の休みになります。休みは原則としてその週から3か月以内、本人が書面などで合意すれば12か月以内に取ります。管理・監督の仕事をする管理職には、残業代のルールが適用されません。
オンタリオ州の労働時間と休憩
ESAのガイド(労働時間)(新しいタブで開く)は、多くの人に求めてよい労働時間の上限を、1日8時間(決まった勤務日がそれより長ければその時間)、週48時間としています。これを超えるには、書面か電子的な合意が必要です。
- 毎日、続けて11時間以上の休み。シフトの間は8時間以上
- 毎週24時間、または2週間で続けて48時間以上の休み
- 5時間を超えて続けて働かせない。30分の食事休憩(契約に定めがなければ無給)
ケベック州の残業代
ケベック州の労働基準法(Loi sur les normes du travail、N-1.1)(新しいタブで開く)は、残業を計算するための通常の週の労働時間を40時間としています(第52条。規則で別に決められた場合を除く)。法律には1日単位の残業の基準はありません。
- 週40時間を超えた分には、通常の時給の50%の割増が付きます(第55条)。つまり1.5倍です
- 本人が頼んだときなどは、残業代の代わりに、残業した時間に50%を足した有給の休みにできます。休みは残業から12か月以内に取り、取らなければお金で払います(第55条)
- 通常の1日の労働時間より2時間を超える、または24時間に14時間を超える残業、週50時間を超える労働は、断ることができます(第59.0.1条。命や安全に危険があるときなどは例外)
- 5時間続けて働くと、30分の無給の食事休憩があります。持ち場を離れられないときは有給です(第79条)
連邦管轄の職場
カナダ政府の労働時間のページ(新しいタブで開く)によると、連邦管轄の職場の基準は1日8時間・週40時間で、週の上限はほとんどの場合48時間です。超えた分は通常の1.5倍以上の給料か、1.5時間分の有給の休みです。
5時間ごとに30分以上の無給の休憩、シフトの間に8時間以上の休みがあります。勤務表は、原則として始まる日の96時間前までに書面で知らせることになっています。子どもの世話など家族の事情があるときは、一定の条件で残業を断れます。管理職や、医師・弁護士・エンジニアなどの専門職は対象外です。
州・準州ごとの違い
BC・アルバータ州・オンタリオ州・ケベック州と、連邦管轄の職場の比較です(2026年10月時点)。
| BC | アルバータ州 | オンタリオ州 | ケベック州 | 連邦管轄の職場 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 1日単位の残業 | 8時間超で1.5倍、12時間超で2倍 | 8時間超で1.5倍(週の計算と多い方) | なし(契約に定めがあれば別) | なし | 8時間超で1.5倍以上 |
| 週単位の残業 | 40時間超で1.5倍 | 44時間超で1.5倍 | 44時間超で1.5倍 | 40時間超で1.5倍(50%の割増) | 40時間超で1.5倍以上 |
| 休みでもらう方法 | 書面で頼めば time bank | 書面の合意で1時間につき1時間以上の休み(6か月以内) | 合意すれば1時間につき1.5時間の休み | 1時間につき1.5時間の休み(12か月以内) | 1時間につき1.5時間の有給の休み |
| 食事休憩 | 5時間続けたら30分(無給) | ― | 5時間を超えないよう30分(原則無給) | 5時間続けたら30分(無給) | 5時間ごとに30分(無給) |
| シフトの間の休み | 8時間以上 | ― | 8時間以上 | ― | 8時間以上 |
ほかの州・準州は各州の窓口へ。
手順
残業代が正しく払われているか確かめるときの流れです。
- 自分の職場が州の管轄か、連邦の管轄かを確かめる。
- 毎日の出勤・退勤の時刻と休憩を、自分でも記録しておく。
- 給与明細で、残業の時間と率(1.5倍・2倍)が書かれているかを確かめる(「給与明細の読み方と天引き」)。
- 足りないと思ったら、記録をもとに雇用主に説明を求める。
- 解決しないときは、州・準州の雇用基準の窓口に相談する。申し立てには期限があります(BCとアルバータ州は最後に働いた日から6か月、オンタリオ州は原則2年、ケベック州はお金の請求が支払日ごとに1年。2026年10月時点)。
日本とのちがいと注意点だよ!
- 日本の労働基準法では、時間外労働の割増賃金は政令で定める率(2割5分以上5割以下の範囲)以上、月60時間を超えた分は5割以上です。BC・アルバータ州・オンタリオ州・ケベック州や連邦管轄の職場では、基準を超えた分が通常の1.5倍以上です。
- 州によって数え方が大きく違います。オンタリオ州では、1日10時間働いても週44時間以内なら残業代は付きません。ケベック州も週40時間で数えます。BCとアルバータ州では1日8時間を超えた時点で付きます。
- BCでは、本人が残業代を放棄すると言っても、雇用主の支払い義務はなくなりません。
- 管理職や一部の職業は、残業代のルールの対象外です。肩書きではなく、実際の仕事の中身で判断される場合があります。
- 自分の場合に残業代が付くかどうかは、州・準州の雇用基準の窓口か弁護士に相談します。
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