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州ごとの雇用基準(Employment standards)

ひとことで言うと

カナダの給料・労働時間・休暇・解雇などの最低限のルール(雇用基準)は、ほとんどの職場で州・準州の法律が決めます。銀行や航空など連邦管轄の職場だけは、連邦のカナダ労働法典(Canada Labour Code)が適用されます。申し立ての期限は州で違い、BCとアルバータ州は原則6か月、オンタリオ州は原則2年、ケベック州はお金の請求が原則1年、連邦管轄の職場は原則6か月です。

目次
  1. 雇用基準とは
  2. 州の法律と連邦の法律
  3. 雇用基準が扱わないこと
  4. 州・準州ごとの違い
  5. 手順
  6. 費用
  7. 日本との違い・注意点
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ここは大事だよ

条件や金額は変わることがあります。手続きの前に、必ず公式の窓口やページで最新の情報を確認してください。個別の判断は、登録された専門家に相談してください。

雇用基準とは

雇用基準(Employment standards)は、雇用主が守らなければならない働き方の最低限のルールです。給料の払い方、最低賃金、労働時間と残業、祝日、有給休暇、休業(leave)、解雇の予告などを決めています。雇用主と働く人が合意しても、原則としてこの基準より不利な条件にはできません。

カナダでは、このルールを決めるのは主に州・準州です。同じ会社で働いていても、働く州・準州が違えばルールも変わります。

州の法律と連邦の法律

ほとんどの職場は州・準州の法律

カナダ政府の連邦管轄の業種のページ(新しいタブで開く)は、連邦管轄の業種で働いていない人は、働いている州・準州の雇用基準を確かめるよう案内しています。飲食店、小売店、ホテル、農場、一般の事務所などは、ふつう州・準州の法律が適用されます。

連邦管轄の職場はカナダ労働法典

連邦の管轄とされる業種では、カナダ労働法典(Canada Labour Code)第3部(Part III)の連邦の労働基準が適用されます。労働時間、給料の支払い、休業、休暇、祝日などを決めています。カナダ政府は、次のような業種を連邦管轄として挙げています。

  • 航空(航空会社、空港など)
  • 銀行
  • 穀物倉庫、飼料・種子の工場など
  • 多くの連邦の公社(カナダポストなど)
  • 港湾、海運、フェリー、トンネル、運河、橋、石油・ガスのパイプライン
  • 郵便と宅配
  • ラジオ・テレビ放送
  • 州や国境をまたぐ鉄道と、一部の短距離鉄道
  • 州や国境をまたぐトラック・バスの輸送
  • 電話、インターネット、ケーブルなどの通信
  • ウランの採掘と加工、原子力

連邦管轄の職場の申し立ての期限

連邦の労働プログラム(Labour Program)の申し立ての期限のページ(新しいタブで開く)による期限です(2026年10月時点)。

申し立ての種類期限
お金の申し立て(未払いの給料、休暇手当、退職手当など)雇用主が払うべきだった最後の日から6か月以内
お金以外の申し立て(休憩が取れない、柔軟な働き方の申し出を断られたなど)問題を知った日から6か月以内
不当解雇(unjust dismissal)解雇の日から90日以内

不当解雇の申し立てができるのは、同じ雇用主のもとで12か月以上続けて働き、労働協約(組合の協約)の対象でなく、管理職でない人です。別の役所に申し立てた、種類を間違えたなどの場合は、もとの期限を守っていれば延長が認められることがあります。

連邦管轄の職場については「連邦管轄の職場」の記事で扱います。

雇用基準が扱わないこと

BC州政府の申し立てのページ(新しいタブで開く)は、BCの雇用基準の窓口が扱わないものとして、次を挙げています。

労働組合のある職場では、労働協約(collective agreement)と組合の手続きが中心になります。何がどの窓口の担当かは州で違うので、迷ったら州の窓口に聞きます。

州・準州ごとの違い

BC・アルバータ州・オンタリオ州・ケベック州の比較です(2026年10月時点)。

ブリティッシュコロンビア州(BC)アルバータ州(AB)オンタリオ州(ON)ケベック州(QC)
法律Employment Standards ActEmployment Standards CodeEmployment Standards Act(ESA)労働基準法(Loi sur les normes du travail)
窓口州政府の雇用基準の窓口州政府の Employment Standards州政府の雇用基準の窓口CNESST
申し立ての期限最後に働いた日(または一時解雇の最後の日)から6か月以内働いている間か、最後に働いた日から6か月以内原則として違反があった日から2年以内お金の請求は支払日ごとに1年。正当な理由のない解雇は45日以内、心理的ハラスメントは2年以内
さかのぼって調べる範囲申し立てを受け付けた日の1年前まで―未払いの給料は、申し立ての前の2年以内のもの―
先に雇用主と話すかまず話し合いで解決を試みるよう案内雇用主と話すことを最初の一歩として案内――

アルバータ州

アルバータ州政府の申し立てのページ(新しいタブで開く)によると、雇用主が最低限の雇用基準を守っていないときに申し立てができます。働いている間でも、最後に働いた日から6か月以内ならいつでも申し立てられます。申し立てはオンラインで、費用はかかりません。まず雇用主と話すことが解決の最初の一歩だと案内しています。連邦管轄の業種や、労働協約の対象の人には別のルールがあります。

ケベック州

ケベック州の窓口は、労働基準・公平・保健・労働安全委員会(Commission des normes, de l’équité, de la santé et de la sécurité du travail、CNESST)です。労働基準法(N-1.1)(新しいタブで開く)の主な期限は次のとおりです。

  • 法律で認められた権利が守られていないと考える人は、CNESSTに書面で申し立てができます(第102条)
  • この法律にもとづくお金の請求は、支払われるはずだった日ごとに1年で時効になります(第115条)
  • 同じ会社で2年以上続けて働いた人が、正当で十分な理由なく解雇されたと考えるときは、解雇から45日以内に申し立てます(第124条)
  • 心理的ハラスメントの申し立ては、最後の出来事から2年以内です(第123.7条)

CNESSTの申し立てのページ(新しいタブで開く)は、未払いの給料、心理的・性的ハラスメント、禁じられた仕返し、正当な理由のない解雇などを、申し立てができる場合として挙げています。

オンタリオ州

オンタリオ州のESAのガイド(新しいタブで開く)は、ほとんどの働く人と雇用主がESAの対象だと説明しています。対象外の例として、航空会社、銀行、連邦の公務員、郵便局、ラジオ・テレビ局、州をまたぐ鉄道など、連邦管轄の業種を挙げています。このガイドは法律の文書ではないとも書いています。

オンタリオ州では、外国人の雇用の保護に関する法律(Employment Protection for Foreign Nationals Act、EPFNA)についての申し立ても同じ窓口ででき、その期限は違反があった日から3年半以内です。

ほかの州・準州は各州の窓口へ。

手順

雇用基準について困ったときの一般的な流れです。

  1. 自分の職場が州・準州の管轄か、連邦の管轄かを確かめる(上の業種の一覧)。
  2. 給与明細、勤務表、雇用契約書、メールなどの記録を集める(「給与明細の読み方と天引き」)。
  3. できる場合は、雇用主と話し合って解決を試みる。BCはまず話し合うよう案内しています。
  4. 解決しないときは、州・準州の雇用基準の窓口に申し立てる。オンタリオ州はオンラインで申し立てができます。
  5. 期限に注意する。BCとアルバータ州は最後に働いた日から6か月、オンタリオ州は原則2年、ケベック州はお金の請求が支払日ごとに1年(解雇は45日)、連邦管轄の職場は原則6か月(不当解雇は90日)です(2026年10月時点)。

費用

アルバータ州は、申し立てに費用はかからないと案内しています(2026年10月時点)。BC・オンタリオ州・ケベック州の手数料は、各州の窓口に確かめます。

日本とのちがいと注意点だよ!

  • 日本では労働基準法が全国に共通して適用されますが、カナダでは働く州・準州によってルールと窓口が違います。最低賃金も州・準州ごとです(「州ごとの最低賃金」)。
  • 銀行、航空、通信など連邦管轄の職場は、州の法律ではなく連邦のカナダ労働法典が適用されます。
  • 申し立てには期限があります。BCとアルバータ州では最後に働いた日から6か月、ケベック州の解雇の申し立ては45日と短めです。辞めたあとでも、早めに動くことが大切です。
  • ハラスメントや差別、労災は、雇用基準とは別の窓口が担当することがあります。
  • 自分の場合にどのルールが当てはまるかは、州・準州の雇用基準の窓口か弁護士に相談します。

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