連邦管轄の職場(カナダ労働法典、Canada Labour Code)
銀行、航空、通信、州をまたぐ輸送などの連邦管轄の職場では、州の雇用基準ではなく、連邦のカナダ労働法典が労働時間・休暇・解雇などのルールを決めます。標準は1日8時間・週40時間、残業は1.5倍、有給の病気休暇は年10日までです。申し立ての期限は原則6か月、不当解雇は90日です。
条件や金額は変わることがあります。手続きの前に、必ず公式の窓口やページで最新の情報を確認してください。個別の判断は、登録された専門家に相談してください。
連邦管轄の職場とは
カナダでは、ほとんどの職場の労働条件を州・準州の法律が決めます。ただし、銀行、航空、州や国境をまたぐ鉄道・トラック・バス、通信、放送、郵便、港湾・海運など、憲法で連邦の管轄とされる業種では、連邦のカナダ労働法典(Canada Labour Code)第3部の労働基準が適用されます。対象の業種の一覧と、州の雇用基準との関係は「州ごとの雇用基準」にまとめています。
この記事では、連邦の労働基準の主な中身を、カナダ政府の連邦の労働基準のページ(新しいタブで開く)をもとに並べます。数字は2026年10月時点のものです。
労働時間と休憩
労働時間のページ(新しいタブで開く)によると、主なルールは次のとおりです。
| 項目 | 連邦のルール |
|---|---|
| 標準の労働時間 | 1日8時間、週40時間 |
| 週の上限 | 原則48時間 |
| 残業代 | 通常の時給の1.5倍以上(または1.5時間分の有給の代休) |
| 勤務と勤務の間 | 連続8時間以上の休息 |
| 週の休日 | 週に1日(ふつうは日曜日) |
| 休憩 | 連続5時間働くごとに30分以上(無給) |
| シフトの通知 | 書面で、シフト表の初日の96時間前まで |
18歳未満の家族の健康・世話・教育のための責任があり、ほかの方法を試しても対応できないときは、残業を断れます。命や安全、財産、事業に関わる予測できない緊急時は例外です。
残業の一般的な考え方は「残業代と労働時間」で扱います。
有給休暇と祝日
休暇と祝日のページ(新しいタブで開く)によると、年次休暇は勤続年数で増えます。
| 勤続 | 年次休暇 | 休暇手当(その年の総賃金に対して) |
|---|---|---|
| 1年 | 2週間 | 4% |
| 連続5年 | 3週間 | 6% |
| 連続10年 | 4週間 | 8% |
有給の祝日(general holidays)は年10日です。元日、聖金曜日(Good Friday)、ヴィクトリアデー、カナダデー、レイバーデー、真実と和解の日(National Day for Truth and Reconciliation)、感謝祭、リメンバランスデー、クリスマス、ボクシングデーです。
祝日の手当は、多くの人で、祝日のある週の直前4週間の賃金(残業代を除く)の20分の1以上です。祝日に働いたときは、その日の時間に通常の1.5倍以上の賃金が払われ、これとは別に祝日の手当も受けられます。
州の祝日の数え方は「祝日の賃金」と「有給休暇と休暇手当」で扱います。連邦の職場は、州の祝日の決まりではなく、この連邦の10日が基準になります。
休業(leave)
休業のページ(新しいタブで開く)から主なものを挙げます。
- 有給の病気休暇(medical leave with pay):同じ雇用主で連続30日働くと3日分が付き、そのあと1か月働くごとに月の初めに1日ずつ増えます。上限は年10日です。
- 個人の休暇(personal leave):暦年で5日まで。同じ雇用主で連続3か月働いていれば、最初の3日は有給です。
- 出産休業(maternity leave):最長17週。
- 育児休業(parental leave):最長63週。
出産・育児の休業中の収入は、雇用保険(EI)の給付で補われることがあります(「出産・育児の給付」)。ほかにも、家族の看護、家族の暴力、忌引きなどの休業があります。
解雇と退職金
雇用の終了のページ(新しいタブで開く)によると、次のとおりです。
- 予告:連続3か月以上働いた人を解雇するときは、2週間以上前の書面での予告か、その分の賃金が必要です。勤続3年以上の人は、勤続1年につき1週間(最長8週間)です。
- 予告がいらないとき:勤続3か月未満、自分から辞めた、正当な理由(just cause)による解雇、期間の決まった契約が満了した場合。
- 退職金(severance pay):連続12か月以上働いた人には、勤続1年につき2日分の賃金か、5日分の賃金の多い方が払われます。
- 50人以上の集団解雇:16週間以上前の予告などが必要です。
州の解雇のルールは「解雇と予告期間」で扱います。
手順
申し立て(complaint)
申し立ての期限のページ(新しいタブで開く)によると、申し立ての種類と期限は次のとおりです。
| 種類 | 期限 |
|---|---|
| 未払いの賃金など(monetary) | 雇用主が払うべきだった最後の日から6か月以内 |
| お金以外の問題(non-monetary) | 問題を知った日から6か月以内 |
| 不当解雇(unjust dismissal) | 解雇の日から90日以内 |
不当解雇の申し立ては、同じ雇用主で連続12か月以上働いたこと、労働協約(collective agreement)の対象でないこと、管理職でないことが条件です。
- 職場が連邦管轄かどうかを確かめる(「州ごとの雇用基準」の業種の一覧)。
- 給与明細、勤務表、雇用契約など、記録を集める。
- 期限内に、カナダ政府のページの申し立てのフォームで申し立てる。
費用
申し立ては無料です。連邦の最低賃金は2026年10月時点で時給C$18.15で、働いている州・準州の最低賃金の方が高ければ高い方が適用されます(「州ごとの最低賃金」)。
ここに注意してね!
- カナダでは、同じ州で働いていても、業種によって適用される法律が州と連邦に分かれます。たとえば、同じ町でも銀行の窓口とレストランでは、残業や祝日のルールが違います。
- 連邦管轄の職場では、差別やハラスメントの相談先もカナダ人権委員会になります(「職場のハラスメントと差別」)。
- 申し立てには期限があります。特に不当解雇は90日と短いため、早めに記録を残します。
- 自分のケースに当てはまるかの判断は、連邦の労働プログラム(Labour Program)や弁護士に相談してください。
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