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少額訴訟(Small claims court)

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ひとことで言うと

お金の貸し借りや買った物のトラブルなど、比較的少ない金額の争いは、州の少額訴訟の手続きで解決を図れます。BC ではC$5,000まではオンラインの民事解決審判所(CRT)、C$5,001〜C$35,000は州裁判所の少額裁判所、オンタリオ州ではC$50,000まで、ケベック州ではC$15,000までを少額裁判所が扱います(2026年10月時点)。

目次
  1. 少額訴訟で扱う争い
  2. 州・準州ごとの違い
  3. BC:民事解決審判所(CRT)
  4. BC:州裁判所の少額裁判所
  5. オンタリオ州:少額裁判所
  6. ケベック州:少額請求部
  7. 手順
  8. 訴えを起こせる期限(オンタリオ州)
  9. 費用
  10. 日本との違い・注意点
ここは大事だよ

条件や金額は変わることがあります。手続きの前に、必ず公式の窓口やページで最新の情報を確認してください。個別の判断は、登録された専門家に相談してください。

少額訴訟で扱う争い

少額訴訟は、比較的少ない金額のお金の支払いや物の返還を求める争いを、通常の裁判より簡単な手続きで扱う仕組みです。弁護士を頼まずに本人が手続きを進めることを前提にした作りになっています。

扱う例としては、次のようなものがあります。

  • 貸したお金が返ってこない
  • 買った物や頼んだサービスに問題があったのに、返金に応じてもらえない
  • 個人の持ち物を返してもらえない、壊された
  • 同居人(ルームメイト)との金銭の争い

制度は州ごとに違います。この記事では、BC、オンタリオ州、ケベック州の仕組みを扱います。

賃貸の敷金や家賃など、大家と借り手の争いは、多くの州で少額訴訟ではなく賃貸の紛争の窓口が扱います。BC の住宅賃貸紛争の窓口は「BCの住宅賃貸局(RTB)」、オンタリオ州は「オンタリオ州の大家・借家人委員会(LTB)」で扱います。

州・準州ごとの違い

州扱う窓口金額の上限(2026年10月時点)特徴
BC民事解決審判所(Civil Resolution Tribunal、CRT)C$5,000までオンラインで手続きする審判所
BC州裁判所の少額裁判所(Provincial Court, Small Claims)C$5,001〜C$35,000裁判所で手続き
オンタリオ州少額裁判所(Small Claims Court)C$50,000まで(利息と費用を除く)オンライン・郵送・窓口で訴えを出せる
ケベック州ケベック裁判所の少額請求部(Division des petites créances de la Cour du Québec)C$15,000まで(利息を除く)判決に控訴できない

ケベック州の消費者トラブルからの流れは「消費者保護の相談先」で扱います。ほかの州・準州は、それぞれの州の裁判所の案内に従います。

BC:民事解決審判所(CRT)

BC では、C$5,000までのほとんどの少額の請求を、CRT(新しいタブで開く)が扱います。CRT は、買った物・売った物、貸し借り、個人の持ち物、契約、ルームメイト、ペットなどの争いを扱います。

一方で、嫌がらせ、名誉毀損、家族の財産の分け方は扱いません。住宅賃貸局(RTB)などほかの機関の命令の執行も CRT ではできません。

CRT の手続き(新しいタブで開く)は、次の4段階です。

  1. 申し立て・応答:まず無料・匿名で使える「ソリューション・エクスプローラー(Solution Explorer)」で、争いの整理や自分でできる解決の方法を調べ、そのあと申し立てるか、申し立てに応答する。
  2. 話し合い(Negotiation):CRT のオンラインの仕組みの上で、当事者どうしで合意を目指す。
  3. 調整(Facilitation):CRT のケースマネージャーが間に入り、合意を手伝う。
  4. 決定(CRT decision):合意できなければ、独立した審判員が決定を出す。

CRT は、弁護士なしで使える手続きだと説明しています。CRT の決定は、裁判所の命令と同じように執行できます。

BC:州裁判所の少額裁判所

C$5,001からC$35,000までの請求は、BC 州政府の少額訴訟のページ(新しいタブで開く)によると、州裁判所の少額裁判所が扱います。手続きの中では、和解の協議(Settlement conference)や審理(Trial)が行われます。州政府は、書類の作り方の案内や、書類作成を手伝うオンラインの仕組み(Filing Assistant)を用意しています。

オンタリオ州:少額裁判所

オンタリオ州の少額裁判所の手引き(新しいタブで開く)によると、少額裁判所は、請求額が利息と費用を除いてC$50,000以下の、お金の支払いや個人の持ち物の返還を求める訴えを扱います。

手続きの主な流れと期限は次のとおりです。

  • 訴え(Plaintiff’s Claim)は、オンラインの提出システム、郵送、または裁判所の窓口で出す。
  • 訴えは、出された日から6か月以内に、相手(被告)それぞれに届ける(送達する)。
  • 被告は、訴えを受け取ってから20日以内に、答弁(Defence)を相手に届け、裁判所に出す。
  • 答弁が出された多くの事件では、裁判所が和解の協議を設ける。ふつうは最初の答弁から90日以内。

ケベック州:少額請求部

ケベック州政府の少額訴訟のページ(新しいタブで開く)によると、ケベック裁判所の少額請求部(Division des petites créances)は、争っている金額が利息を除いてC$15,000以下の事件を扱います。お金の請求に加えて、請求に関係する物を返すよう求めることもできます。

州政府の訴えの手順のページ(新しいタブで開く)では、次の流れが示されています。

  • 催告書(Mise en demeure):相手に、決めた期限までに問題を直すよう書面で求める。争いを解決する最初の段階になることが多い。
  • 出す場所:決まりに従って、訴えを出す地域(司法地区、district judiciaire)を決める。
  • 相手の特定:相手が個人か会社などの法人かを含め、正しく特定する。
  • 申立書:「Demande aux petites créances(SJ-870E)」の電子フォームに記入する。
  • 書記官の確認:出す前に、裁判所の書記官(greffier)が電話の予約で無料で確かめてくれる。
  • 証拠:証拠になる書類をそろえ、決められた期限までに書記官に出す。

手続きの中では、調停(Médiation)や仲裁(Arbitrage)も使えます。少額請求部の判決には控訴できません。負けた側は、法律で決まった期限のうちに、勝った側に直接お金を払います。

手順

BC の CRT(C$5,000まで)の場合の流れです。

  1. 相手と話し合い、請求の内容と金額を書面で整理する。やりとりの記録や領収書、写真を残す。
  2. CRT のソリューション・エクスプローラーで、争いの種類と使える手続きを確かめる。
  3. 申し立てをして、手数料を払う。
  4. 相手が応答したら、話し合い・調整の段階に進む。
  5. 合意できなければ、決定の手数料を払い、審判員の決定を待つ。
  6. 決定が出ても相手が払わない場合は、裁判所を通じて執行の手続きをとる。

オンタリオ州の場合は、訴えの提出、相手への送達、答弁、和解の協議、審理の順に進みます。

訴えを起こせる期限(オンタリオ州)

オンタリオ州では、訴えを起こせる期限を期限法(Limitations Act, 2002)(新しいタブで開く)が決めています。

  • 基本は2年(第4条):損害などに気づいた日(discovered)の2年後の応当日を過ぎると、訴えを起こせません。
  • 気づいた日(第5条):損害が起きたこと、それが相手の行為や怠慢によること、裁判が解決の手段として適切であることを知った日か、同じ立場のふつうの人なら知るべきだった日の、早いほうです。反対の証明がなければ、もとになる行為があった日に知っていたものと扱われます。
  • 最長15年(第15条):気づいていなくても、もとになる行為があった日から15年を過ぎると、訴えを起こせません。

未成年や判断能力のない人などには例外があります。期限が迫っている、または過ぎていそうな場合は、早めに弁護士や法律相談の窓口に相談します。

費用

2026年10月時点の主な手数料です。

BC の CRT(CRT の手数料のページ(新しいタブで開く))

内容オンラインメール・郵送
申し立て(C$3,000以下)C$75C$100
申し立て(C$3,001以上)C$125C$150
応答無料C$25
審判員の最終決定C$50C$50

収入の少ない個人は、手数料の免除を申し込めます。申し立ての手数料の免除は、12か月の間に3回までです。会社などは対象外です。

BC の州裁判所の少額裁判所(少額訴訟の規則の手数料表)

  • 訴え(Notice of claim)の提出:C$3,000を超える請求はC$156
  • 答弁(Reply)の提出:C$3,000を超える請求はC$50

オンタリオ州の少額裁判所(手数料の規則 O. Reg. 332/16(新しいタブで開く))

内容手数料
訴え(Plaintiff’s Claim)の提出C$108
被告からの反訴(Defendant’s Claim)の提出C$108
答弁(Defence)の提出C$77
申し立て(Motion)の提出C$127
審理(Trial)の日の指定C$308
欠席判決(Default judgment)の申請C$94
証人の呼び出し状C$33

これは、同じ裁判所でその年に10件以上を出していない人(infrequent claimant)の金額です。10件以上を出す人(frequent claimant)は、訴えの提出がC$228などと高くなります。規則により、手数料は2027年1月1日から3年ごとに、オンタリオ州の消費者物価指数に合わせて見直されます。

ケベック州の少額請求部(ケベック州の手数料のページ(新しいタブで開く)。2026年の額)

請求額個人法人
C$5,000以下C$121C$191
C$5,000.01〜C$10,000C$223C$318
C$10,000.01〜C$15,000C$241C$382

訴え(反訴を含む)の提出と、相手の反論(Contestation)の提出は、どちらもこの表の額です。手数料は毎年1月1日に物価に合わせて見直されます。最後の手段としての生活保護(aide financière de dernier recours)を受けている人と、法律扶助の証明書を出す人は、個人の手数料を払わなくてよいとされています。

日本とのちがいと注意点だよ!

  • カナダでは、少額訴訟の制度と金額の上限が州ごとに違います。BC ではC$5,000までが裁判所ではなくオンラインの審判所(CRT)で扱われる点が特徴です。
  • 手続きの言語は英語(ケベック州ではフランス語も)です。ケベック州の少額請求部の判決には控訴できないため、出す証拠は最初からそろえておきます。通訳の手配は「通訳サービスと日本語での相談」で扱います。
  • 勝っても、相手が自動的に払うわけではありません。払わないときは、別に執行の手続きが必要です。
  • 訴えを起こせる期間には法律の期限があります。オンタリオ州では、気づいた日から原則2年です。早めに準備を始めます。
  • どの手続きを使うべきか、勝てる見込みがあるかの判断は、弁護士や州の法律相談の窓口に相談します。無料・低額の相談先は「法律相談と法律扶助」で扱います。

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