「Sorry」をよく耳にする(謝罪法 Apology Act の話も)
ひとことで言うと
カナダで暮らしていると「Sorry」をよく耳にする、という声があります。ぶつかりそうになったときや、道をゆずるときにも聞く言葉です。ブリティッシュコロンビア州やオンタリオ州には、謝ったことだけで責任を認めたことにはならないと定めた「謝罪法(Apology Act)」もあります。
よく耳にする「Sorry」
カナダで暮らし始めた人から、「Sorry をよく聞く」という話を耳にすることがあります。編集部のメンバーも、次のような場面でよく聞きました。
- スーパーの通路で、カートどうしがぶつかりそうになったとき
- 混んだバスで、人の前を通るとき
- 相手の言葉が聞き取れず、聞き返すとき(「Sorry?」)
- ドアを押さえて待ってもらったとき
日本語の「すみません」に近く、謝るというより「ちょっと失礼」「ごめんなさいね」くらいの軽い感じで使われているように感じます。もちろん、人や場面によって違い、すべてのカナダ人がそうというわけではありません。
聞き返すときの「Sorry?」は、「すみません、もう一度お願いします」の意味です。英語に慣れないうちは、こちらから使ってみると便利です。
「謝ったら負け」ではない法律
Sorry にまつわる話として、カナダのいくつかの州には**謝罪法(Apology Act)**という法律があります。
ブリティッシュコロンビア州(BC)の謝罪法(Apology Act、2006年)(新しいタブで開く)は、「謝罪(apology)」を、同情や後悔の表現、「sorry」と言うこと、そのほかの反省やいたわりを示す言葉や行動、と定めています。そして、謝罪について次のように決めています。
- 謝罪は、過失や法的な責任を認めたことにはならない
- 保険の契約にどう書いてあっても、謝罪によって保険の補償に影響しない
- 過失や責任を判断するときに、謝罪を考慮してはならない
- 謝罪したことは、裁判で過失や責任の証拠として使えない
オンタリオ州にも同じような謝罪法(Apology Act, 2009)(新しいタブで開く)があります。こちらも、謝罪は法律上、過失や責任を認めたことにはならないと定めています。
「Sorry と言ったら責任を認めたことになるのでは」と心配せずに、気持ちを伝えられるようにするための法律です。
日本とのちがいと注意点だよ!
- 謝罪法は州の法律で、ここで確かめたのは BC州とオンタリオ州のものです。ほかの州・準州のルールは、それぞれの州の法令で確かめる必要があります。
- 謝罪法があっても、事故やトラブルの責任そのものがなくなるわけではありません。交通事故などで責任や保険が問題になるときは、保険会社や弁護士に相談してください。
- 軽い「Sorry」は日本語の「すみません」と同じように使える場面が多い一方、感謝を伝えたいときは「Thank you」のほうが合う場面もあります。迷ったら、周りの人の使い方を観察してみるのがおすすめです。
- 文末の「eh」など、ほかのカナダらしい言葉は「「eh」の使い方」の記事で扱います。
この記事をシェアする
次に読むならこれ
比較・雑学一日に四季がある(山の天気とシヌーク)「朝は冬、昼は春」のように、一日のうちに天気ががらりと変わる日があります。カナダ公園局は、山の天気はすぐに変わり、どの月でも雪が降ることがあると注意しています。アルバータ州南部では、暖かい風「シヌーク(Chinook)」で数時間のうちに気温が上がることもあります。比較・雑学ケチャップ味のポテトチップス(袋の表示の読み方)カナダのスーパーのお菓子売り場で、ケチャップ味のポテトチップスを見かけて驚く人もいるかもしれません。袋の表示は、英語とフランス語の両方で書くのが原則です。「flavoured」の文字や原材料の書き方にも、カナダ食品検査庁(CFIA)の決まりや考え方があります。比較・雑学家では靴を脱ぐ(Shoes off at home)「欧米の家は土足」というイメージで来ると、カナダでは玄関で靴を脱ぐ家に出会って驚くことがあります。脱ぐかどうかは家ごとに違います。カナダ保健省も、外の汚れや化学物質を持ち込まないために、家では靴を脱ぐことをすすめています。
関連する記事
比較・雑学「eh」の使い方(文末の「エイ?」)「eh」は文の終わりにつける短い言葉で、文法では間投詞(interjection)に分類されます。連邦政府の言葉のサイトも「He has a new car, eh?」を例に挙げています。改まった文章ではあまり使わない、話し言葉の言葉です。比較・雑学マナーの違い(マナーと決まりの境目)日本では「マナー」の感覚でいることが、カナダでは州の法律で決まっている場合があります。外での飲酒や、レストランのパティオでの喫煙がその例です。決まりの中身は州・準州で違います。比較・雑学ドアを押さえて待つ(Holding the door)カナダでは、建物の入口で前の人がドアを押さえて待っていてくれた、という話を聞くことがあります。決まりではなく、人や場所によって違う習慣です。手伝うときは「相手に聞いてから」という考え方も、連邦政府の機関の手引きで紹介されています。比較・雑学カナダ英語の言い回し(Canadianisms)カナダだけで使われる言葉を「Canadianism」、その中でも特定の地方だけの言葉を「regionalism」と呼びます。連邦政府の翻訳局の資料から、プレーリー(アルバータ州・サスカチュワン州・マニトバ州)の言葉と、カナダのつづりの考え方を紹介します。比較・雑学アメリカと間違えられる(カナダとアメリカの違い)カナダとアメリカは約9,000kmの国境で接し、毎日たくさんの人やモノが行き来しています。英語を話す人が多いことなどから、旅行先や住んでいる国を説明するときに混同されることもあります。首都、公用語、通貨、つづり、単位など、カナダならではの点をまとめます。比較・雑学カナダガン(Canada goose)は法律で守られた鳥公園や川べりでよく見かける大きな鳥、カナダガン。1916年にカナダとアメリカが結んだ条約にもとづく「渡り鳥条約法(Migratory Birds Convention Act, 1994)」で守られていて、許可なく傷つけることはできません。巣を守る時期は、近づくと威嚇されることもあります。
新しい記事やカナダの豆知識をXで発信しています。@marucanada をフォロー